中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

書籍紹介「ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論」(ゲーテビジネス新書 / 広木隆)

昨日、ブログでクニミネ工業の記事を掲載しましたが、クニミネ工業の昨日の終値は前日比+54円の1,268円でした。日経平均株価は65円安でしたが、やはり四季報でサプライズ銘柄の紹介などがされると、個人投資家は企業の分析などすることなく「買いだ!」といって群がるのでしょうか。

さて、本日は、書籍を1つ紹介いたします。前にもブログで触れましたが、「ストラテジストにさよならを  21世紀の株式投資論」という本です。著者はテレビ東京のモーニングサテライトなどに出ているマネックス証券のストラテジストの広木隆さんです。ユニークなレポートを書かれる比較的有名な方だと思います。この本は2011年に書かれたものなので、約10年前の本になります。

本の内容ですが、ストラテジストの言うことを鵜呑みにせず、自分で社会経済、政治動向などの情報収集をして、銘柄を分析して株式投資をせよというものです。また、株式投資で短期で資産を倍増させるなどはほぼ困難で、株式投資の期待リターンは7%程度なので、10年ほど運用することで少しずつ資産を増やすべきなどといったことが書かれています。分量の少ない本のため1時間かからない程度で読みましたが、さらっと一般的なことが書かれているだけで、株式投資に精通した個人投資家が読む必要性はゼロですが、これから株式投資をはじめようとする方、PER、PBRなどが分からない方が手にするには良い本かと思います。

読んでいて面白かったのは、日経平均の予想をするストラテジストを批判しており、彼らの言うことは当てにするなということが書かれています。日本のストラテジストのほとんどは、大学を出て銀行、証券、生保で働いているサラリーマンに過ぎず、能力的には五十歩百歩で相場の先行きを占う能力などなく、そもそもとして自分で金を出して相場を張っている人間ではないので、この手の予想は話半分に聞くべきということです。昨年の11月の日経新聞でJPモルガン証券、三菱UFJ国際投信、野村証券、ニッセイアセットマネジメントのストラテジストが2021年3月末までの相場見通しを書いていますが、ほぼ全員が2万5000円~2万6000円と言っていますが、大きく外れています。広木さんが言うようにこの方かちは、自分の金で相場を張っていない単なるサラリーマンの株価評論家程度なので、話半分に聞いておけば良いということが良く分かるかと思います。

ということで、内容に深みのある本ではないですが、株式投資の初心者、企業の財務分析をすることなく株価予想屋の意見などに注目して株式投資をしている個人投資家の方向けの本と言えるかと思います。