中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

個人投資家の株主総会の参加が容易になる方向-経産省が研究会を設置

8月17日の日本経済新聞で、株主総会にインターネットで出席できるように経済産業省が指針を作るとの指針が公表されましたが、これに関して、8月26日に経済産業省が「第1回 新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」を開催しました。

 この研究会の第1回資料を見ると、研究会の主な検討事項として、次の3点があげられています。

  • ハイブリッド型バーチャル株主総会に係る論点整理(議論を深めた上で、ハイブリッド型バーチャル株主総会実施ガイドとして公表)
  • 会議体としての新たな株主総会像について(諸外国の動向も踏まえて、さらなるITの活用も念頭に置いた次世代の株主総会に期待される役割とその規律付のあり方等についての検討
  • 内外の環境整備を踏まえた株主総会プロセスの再考など(株主総会プロセスでの対話をより効果的に行うための方策の検討)

8月26日の第1回会議はフリーディスカッションとのことですが、第2回が9月30日に予定されており、ハイブリッド型バーチャル総会の法的・実務的論点整理がなされる予定のようです。月1回のペースで開催し、今年度末を目途に取りまとめることを目指す模様です。

第1回の公表資料にはそれほど細かい事項は記載されていないのですが、新聞記事によれば、米国では、株主総会のネット出席が普及しており、2017年には200社超がネット出席型で総会を開催したようです。

政府としては、将来的に国内でも完全にネットのみで株主総会を実施できることを視野に入れているようであります。

日本の上場企業のほとんどが、株主総会を平日に開催しています。結果、仕事のない主婦・主夫や、定年退職した老人などが総会の出席者になります。特に多くの高齢者などは、財務情報も十分に読めないレベルで、単に土産目的と暇つぶしに来ているだけというのが現実かと思います。

投資先企業のマネジメントに質問をして、事業戦略、ガバナンス、ファイナンスについて鋭い質問をしたいと考える年齢層の方は、仕事を持っており、平日に株主総会に出席することはできません。

私も自分の投資先銘柄の企業の総会に出席はしたいのですが、平日に年休を取得していくのは現実には難しいです。社会人になった時に、「これはおかしいな」と思っていました。

バーチャル総会が可能になると、これまで株主総会に出席できなかった個人投資家もインターネットを通じて、容易に自分の意思を株主総会の決議に反映でき、とても良い方向に向かうのであろうと思います。一方、企業にとっては大変作業が増えることになるのであろうと思います。大きな負担には違いありません。

今後は、個人株主の議決権が総会決議に大きな影響を与えることになるのかも知れません。今後、研究会の議論の内容など公表された資料を見て、紹介したいと思います。