中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

企業サステナビリティ報告指令(CSRD) ー どこまで真面目にやるのか見極めながら進めるのが大事かな

先日から企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に関する情報収集を本格的にはじめました。CSRDはご存じでしょうか?

23年1月に欧州で企業のサステナビリティ情報開示の新たな指令となるCSRDが発効されました。平たくいうとサステナビリティに関する情報開示の強化を企業に求めるものです。ネットで検索したところ、日本総総研が詳しい説明をしています。

企業サステナビリティ報告指令(CSRD)・欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の概要および日本企業に求められる対応|日本総研

日本企業にも影響があります。欧州で一定規模の商売をしているグローバル企業は開示対象になるのです。これまでは名称程度しか知らなかったのですが、先日からかなり力を入れて情報収集をはじめています。

大事なのは「これって真面目に取り組まないと日本企業にはどんなリスクがあるの?」という点かと思います。私の理解は次のとおりです。

1点目は、真面目に対応しないと欧州の各国の法規制で罰則を食らう可能性があるという点です。2点目は、真面目に対応しないと欧州企業のサプライチェーンから外される可能性があるという点です。これだけ聞くと怖いですね。けど、ここで問題が2つあります。

それはいずれも「現時点では可能性である」という点です。また、仮に罰則を食らうとしても欧州での各国の法規制が現時点では整備されておらず、罰則の詳細が定まっておらず、また罰則ができてもそれがどこまで現実に適用されるのかです。執行の問題ですね。CSRD対応の課題はコンサル会社はリスクを強調してきますが(商売なので仕方ありませんが)、企業はどこまで本気で対応をすればよいか悩ましい点かと思います。

だって適用される企業は日本だけでなく、米国、中国はじめ欧州で商売をしている企業すべてです。となると対象企業は軽く数千社を超えてきます。これらの企業が対応しないため大きな罰則を食らうとは到底考えにくいし、サプライチェーンから外されると、そもそも欧州の顧客が困ってしまいます。

こんなことを考えると、日本企業としては、どこまで本気で力を入れればよいか、現時点では悩ましいところです。全く対応しないのは問題だが、外から見て「対応しているよね」と言える程度にやっておくということで足るかなと現状では理解しています。所詮は、欧州が勝手に決めた対応に過剰に反応して、金を湯水のように使うわけにはいかないというのが企業の全うな考えだと思います。金を使いすぎると投資家から、厳しいお叱りを受けることになります。

今後、ブログでもCSRD対応の情報を自分の備忘録を兼ねて掲載していきますので、対応をお悩みの企業の方や情報を共有したいという方がいれば、コメントをブログやツイッターにいただければと思います。引き続きブログで更新していきます。