コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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人財ガバナンスの動き ー 経産省「人的資本経営の実現に向けた検討会」

9月4日号の週刊東洋経済で「すごいベンチャー100」という記事が掲載されていました。大型上場予備軍となる可能性もあるかも知れませんので、株式投資のネタとして目を通したいと思います。本日は在宅勤務のため、昨日は沢山の資料のコピーを自宅持ち帰り、最近のホットな話題である知財ガバナンス、人財ガバナンスの情報インプットに本日は集中的に時間を費やす予定です。

知財ガバナンスの動きは、先日より情報を追いかけていますが、今回は、人財ガバナンスの動きについてごく簡単に紹介したいと思います。本年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードで、次の規定が新設されました。

3-1③ 上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。 

これを見て、どうしたら良いか悩まれている上場企業の実務担当の方も多いのではないでしょうか? ポイントは「資本」という言葉です。無形資産である知的財産(ノウハウを含みます)と人的資本について、これらを費用として考えるのではなく、企業価値を創出する投資として経営経営戦略と絡めて投資家に開示すべきという点です。なかなか難しいですよね。

人的資本については、社内外研修会の参加人数や従業員1人当たりの研修費などを開示している企業は、これまでも多く見ました。けど、必ずしもそれが経営戦略と結びついた開示となっているかというとそこまでは読み解けない開示が多いのが現状です。企業側としては、企業経営の前提は「人」ですので、社内外の研修会への参画は、全て企業経営や経営課題の解決に資することを目的としているのですが、それが機関投資家家などの社外の人にうまく文章で開示できていないということです。

知的資本については、先日ブログで検討会が開始されたことを紹介しましたが、人的資本についても経産省で検討会が開始されています。人的資本経営の実現に向けた検討会で、開催趣旨は「人的資本経営の実現に向けた主要課題について、今後の具体的な対応の方向性や、各ステークホルダーが実施すべき具体的な取組を議論・検討する」とあります。7月1日に第1回会合、8月16日に第2回会合が開催されています。

現時点ではまだ意見は集約されておらず、委員が色々と意見を述べているところです。ちなみに、この検討会の座長は伊藤レポートで有名な一橋大学の伊藤氏です。実務を知らないのが大学教授の常ですので(実務経験があれば別ですが)、どこまで世の中の実態を把握されているのかは個人的には甚だ疑問もありますが、委員には企業実務担当者も入っているし、ブラックロック・ジャパンなどの機関投資家も入っているので、今後注視すべき検討会になるとは思います。知財ガバナンス、人材ガバナンスについては、引き続き、ブログで情報を掲載していく予定です。