中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

変革企業(イノベーター)を目指すことが大事です ー 株式市場改革 / コーポレートガバナンス改革

明日から投資先銘柄をはじめとした企業各社の3Q決算が本格化します。私の場合、四半期決算後には、投資先企業のIR部門に今後の見通しなどを必ず質問することにしているのですが、その準備として、本日は周辺情報(経済動向、業界動向、ニュース・記事、レポート等)をツイッターや新聞で調べたりしていました。

本題ですが、1月27日の日経新聞の夕刊の「十字路」にニッセイアセットマネジメントの社長の次の記事がありました。

https://www.nam.co.jp/news/ppdf/230127_press.pdf

2割の変革企業に焦点を当てることで日本株全体を見直す契機になるということです。マーケティングを勉強された方は、製品等を取り入れる需要者をイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガーズと区分されることはご存じかと思います。製品等が市場に浸透するには、アーリーマジョリティーに到達することがポイントになりますが、そのためには、まずはイノベーターに受け入れて貰うことが必要になるわけです。

この記事では、このイノベーターにまずは焦点を当てることが大事で、これを励行する政策が必要ということです。これを読んで「なるほどな」と思いました。

金融庁東証経済産業省は企業のPBR1倍割れを大きな問題として考えています。特に万年、PBR1倍割れ企業には、株価向上の施策の公表とその進捗の公表を特に強く求める動きにあります。

私は、これを真剣に考える企業とそうでない企業とで今後は大きな差が生じると思います。恐らく、低株価の企業の中には、深く考えないですまそうという企業も相当数あると思います。今後開示が求められるなら、他社例などを見て、適当にやりすごそうという企業です。結構、多いのではと思います。

その一方で、「大変なことになった。今後は真剣に株価向上を考えなければ」という企業もあると思います。この企業群は2割程度はあるのだと思います。そして、この2割の企業の取組みに影響を受けて、真面目に取り組む企業はどんどん増えてくると思います。そうなると、馬鹿にして取り組んでいなかった企業は、あっという間に市場から取り残されることになります。

コーポレートガバナンス報告書や有報の開示を見ると、改訂の度に他社例を気にして、横並びの開示ですまそうという企業が大変多いのが現状です。サラリーマンを長い間やっているとこの発想も良く分かるのですが(「他社はどうしている?」ということをやたら気にする人は多いですよね。サラリーマンの習性です)、この考えは今後はヤバいと思います。

繰り返しになりますが、2割の変革企業は増えると思います。一旦、2割に到達した後は資本市場の後押しもあり、一気に4割、5割と企業数が加速度的に増えると思います。意識の乏しい企業はあっという間に取り残されてしまいます。

株式市場改革、コーポレートガバナンス改革を適当にやりすごしておこうという発想を持った企業がいれば、その考えを捨て去り、自社が変革企業になるくらいの気持ちで取り組まないと、あっという間に市場に置いていかれます。となると、アクティビストが株式を取得した後、機関投資家に助けを求めても、誰も助けてくれないという事態になりかねません。そうなると大変です。

コーポレートガバナンス、資本市場の企業への要請などは上場企業の経営トップはアンテナを高くはり、高い意識を持ち対応することが益々大事になってくると思います。