中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 (第2回 )ー 知財投資・活用戦略の開示の在り方について 

本日の日経新聞の経済教室に企業統治に求められる視点として、会社法、金融法の大家である東大名誉教授の神田秀樹さんの記事が掲載されていました。プライム市場に求められる事項などが簡潔に纏まっています。

さて、「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」の第1回会合が8月6日に開催されているところですが、8月26日に第2回が開催されました(第1回会合の時の記事は最後に再掲させて頂きます)。第2回での事務局資料は次のとおりです。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai2/siryou3.pdf

第1回会合の意見が掲載されており、前回は色々と意見が出て終了した模様ですね。一言で纏めると、日本では知的財産の重要性や扱いが低いため(多くの製造業の知的財産部は社内での地位が結構低いのが現状)、無形資産が今後の企業価値の要諦となるためには、知的財産も経営に結び付けて行く必要ありといった意見交換がされたようです。

第2回の会合では、「日本企業の知財投資・活用が進んでこなかった背景をどう考えるか? 」「どのような知財投資・活用戦略の開示を促すべきか?」「社内において知財投資・活用戦略の実行をどのようにガバナンスすべきか?」といったことが討議のテーマだったようです。この手の会議は、色々な意見が出るので、途中で出される中間整理や方向案を見ておけば足るのですが、今後のスケジュールは13ページに次のとおり記載されています。

  • 第3回(9月8日): 知財投資・活用戦略に盛り込まれるべき内容・開示の在り方②、 知財投資・活用戦略のガバナンス体制の在り方、 企業からの事例紹介・投資家の視点
  • 第4回(9月22日): コーポレート・ガバナンスに関する報告書への対応
  • 第5回(10月上旬): 知財投資・活用に関する指標の在り方①、知財調査専門会社の活用の在り方
  • 第6回(10月下旬):知財投資・活用に関する指標の在り方②
  • 第7回(11月): ガイドライン骨子案、これまでの議論の整理
  • 第8回(12月): ガイドライン

コーポレートガバナンス報告書の開示が本年12月末までとされているところ、第4回のコーポレートガバナンスに関する報告書への対応で大きな方向性が示されるのだと思います。ここが1つのポイントになると思います。勿論、この研究会の公表するガイドラインに企業は従う義務はありません(ソフトローです)。

経産省はこれまでも、コーポレートガバナンスに関して色々なガイドラインを策定してきましたが、正直、まともに読んだことはないという上場企業の方がほとんどとかと思います。まあその程度の位置づけのものではあるのですが、何事も幅広く情報を収集することが物事の判断には重要かと思いますし、知財ガバナンスという言葉も最近になって言われてきましたので、実務担当者は第1回・第2回会合の事務局資料には、あまり時間をかけずさっと目を通された方がよいのかも知れません。私は、明日オフィスでプリントアウトして、一度きちんと目を通す予定です。面白い内容があった場合、ブログで追加記事を書きたいと思います。