中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

電気興業が買収防衛策を廃止 ー 投資ファンドとの攻防

投資ファンドであるリム・アドバイザーズ等が投資をしている電気興業ですが、先日、事前警告型の買収防衛策の廃止を公表していました。

https://www.denkikogyo.co.jp/ir/ir/pdf/2022/20220512_release1.pdf

本年の6月30日(定時株主総会)に更新期限を迎えますが、更新しないことを決定したという内容です。投資ファンドが一定数株式を保有する中、本当は継続更新したかったのでしょうが、過半数の賛同が困難という票読みの結果だったと想像されます。

また、投資ファンドからの株主提案に対する見解も公表しています(投資ファンドからの株主提案の内容は前にブログで記事を書いているので、最後に再掲します)

https://www.denkikogyo.co.jp/ir/ir/pdf/2022/20220520_release1.pdf

政策保有株式の売却の株主提案については、次のような回答を上記プレスリリースで記載されています(太字は私がポイントと思う箇所をハイライトしました)。

当社は、経営基盤の更なる強化のため、「政策保有株式」について、その保有の意義が認められる場合を除き、コーポレートガバナンス・コードを巡る環境の変化や、株価変動リスクによる財務指標への影響度に鑑み、保有しないことを基本方針としております。その基本方針につきましては、2021 年 11 月 10 日に開示した「政策保有株式の縮減方針のお知らせ」に記載のとおりです。  当社は、この縮減方針に従い、政策保有株式の縮減を鋭意進めており、今後も積極的に取り組んでまいります。また、上記「政策保有株式の縮減方針のお知らせ」では、銘柄数ベースの縮減目標を掲げておりましたが、これに加えて、2022 年5月 12 日に開示した「コーポレートガバナンスレポート」に記載していますとおり、額面ベースの縮減目標も掲げています。縮減して得られる資金については、2022 年度を起点とする中期経営計画(2022 年 4 月~2025 年 3 月)で進める各種施策の原資として活用することを予定しています。他方で、政策保有株式も当社の資産であり、市場において当該銘柄の株価が低迷していたり、必ずしも一定以上の資金需要が高くないなどの状況がありうるにもかかわらず、定款によって一年未満という短い期間で強制的に資産を処分することを定めることは、かえって株主の利益の最大化に資することにならないという点において、リスクがあると言わざるを得ません。また、定款は、株式会社の組織と活動に関する根本規則であり、資産処分の方法と時期を強制的に定める本株主提案の内容は、当社の根本規則とするには不適切であり、定款に本株主提案のような規定を定める必要はないものと考えます。株主の皆様には、政策保有株式の縮減及びそれによる資金で進める各施策を定めた当社中期経営計画の是非については、取締役の選任議案をもってご判断をいただくことが適切であると考えております。 

今後の投資ファンドとの攻防によっては有事導入型の買収防衛策もあるかも知れません。本件も引き続き注視したいと思います。