中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

機関投資家協働対話フォーラムが企業にレターを送付 ー 事前警告型買収防衛策について

本日は休みのため、投資先銘柄の情報整理を行う予定です。私の場合、投資先は中小型銘柄のためアナリストのカバレッジがなく(=アナリストレポートがない)、そもそもIRにそれほど積極的でない企業が多いので、新聞、ネット、ツイッターで情報を収集した後に投資先企業のIR部門に定期的にメールで問い合わせをしたりしています。3月18日に四季報が発売されるので、それまでに情報収集をして、そのタイミングで質問をする予定です。本当はオンライン株主総会が開催されるのであれば、そこでも議長に色々と質問をしたいところです。

さて本題ですが、機関投資家協働対話フォーラムが2月22日に「資本市場の評価を下げるリスクを踏まえた買収防衛策の必要性の開示」についてのレターを企業に送付したことを次のとおり公表しました。

https://www.iicef.jp/pdf/jp/pdf_jp_20220210_01.pdf?20220214

レターにも記載されていますが、機関投資家協働対話フォーラムには国内大手機関投資家7社が加盟しています。従前から参加機関投資家の数があまり増えていませんね。恐らく数が多いと機関投資家間での意見集約に手間がかかることが参加企業数が少ない理由の1つと思われます。

買収防衛策については、過去にもフォーラムはレターを公表していますね。ブログでも過去に記事を書いていますので、最後に再掲します。今回のレターで記載されている内容は、いずれも合理性があると私は考えます。特にレターに記載の次の点などは、買収防衛策導入企業には反論は難しいところです(太字は強調するために私が付けました)。

何より重要な点は、買収防衛策という仕組みが、十分な成果を上げていない経営に買収という変化をもたらす機会を制限することで、経営陣の自己規律性を弱める性格を持つことです。我々投資家は、経営陣が、買収防衛策を導入することによって、正当な目的を持った戦略的買収でも経営陣の意に沿わない買収提案は阻止できると誤解することで、株主からの付託に対する緊張感が薄れ、経営に甘さが出るのではないかと懸念しています。場合によっては、株価の低迷を放置することにつながり、買収防衛策の導入・継続の真の目的は経営陣の自己保身ではないかと考え、経営陣に対する不信感を募らせることもあります。

買収防衛策を有する企業は、しっかりと自社の考えを整理して公表する必要があるように思います。世の中は、有事導入型の買収防衛策の流れに変わったといえるので事前警告型はいずれなくなるのだと思います。もっとも機関投資家(海外・国内)の保有株式比率の小さい企業は、気にせずに継続するということでも問題はないとは思いますが。