ゼネコン各社の2021年3月期の有価証券報告書が開示されました。以前にもブログで主要各社の政策保有株式の増減数を書きましたが、2020年度の数値をアップデートします。
有価証券報告書の「保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」の中の「非上場株式以外の株式」(=上場株式)です。2018年度、2019年度、2020年度の銘柄数を並べており、括弧は対前年比の増減数になります。
- 大林組 149銘柄 → 129銘柄(△20)→ 123銘柄(△ 6)
- 大成建設 141銘柄 → 139銘柄(△ 2)→ 135銘柄(△ 4)
- 清水建設 180銘柄 → 174銘柄(△ 6)→ 163銘柄(△11)
- 鹿島 167銘柄 → 161銘柄(△ 6)→ 144銘柄(△17)
- 戸田建設 118銘柄 → 118銘柄( ー )→ 101銘柄(△17)
- 西松建設 75銘柄 → 64銘柄(△11)→ 26銘柄(△38)
- 安藤ハザマ 58銘柄 → 51銘柄(△ 7)→ 48銘柄(△ 3)
- 五洋建設 50銘柄 → 33銘柄(△17)→ 27銘柄(△ 6)
- 熊谷組 11銘柄 → 11銘柄( ー )→ 10銘柄(△ 1)
大林組と大成建設の減少数がいまいちですね。一方、西松建設38銘柄も減らしています。西松建設は旧村上系ファンドのシティインデックスイレブンスが22%程度保有しており、今年の株主総会でも幻の議案を株主総会の議案に上程するしないで新聞にも掲載されているところです(幻の議案については前に書いた記事を最後に再掲します)。
西松建設の場合、自主的に進んで縮減をしたというより、アクティビストからの要請があって縮減を進めているのだろうと容易に想像されます。他のゼネコンは銘柄数があまり減っていませんが、西松建設をはじめアクティビストの狙われている業界ですので、安定株主の確保という観点からは各社とも縮減は進めたくないというのが本心かと思います。当然と言えば当然ですね。けど、やはりゼネコンは保有銘柄数が圧倒的に多く、資本市場の流れに乗れていない古い業界とも言えます。
6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、政策保有株式に関する補充原則の改訂はありませんでした。「よかった」と安心している経営トップの方も多いのではないでしょうか。しかし、安心してはいけません。コードでは改訂はありませんでしたが、別のところで改訂がされていることに気をつけねばなりません。これが将来において何を意味するかを経営トップは理解することが必要です。週末にこの点について掲載します。