中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

個人投資家のアクティビズム ー まずは投資先企業の株価が割安かどうかを判断するのが最初のステップ

本日の日経ヴェリタスで「みんなのアクティビズム」というタイトルの記事がありました。上手い表現だなと思います。日経ヴェリタスは勤務先で定期購読しているので、明日、記事をさっと読んで見たいと思います。

さて、前回、個人投資家の武器として次の記事を書きました。

本日から個人投資家の武器として、投資先企業に株主アクティビズムを実施する際のポイントを解説していきます。まずは、投資先企業の市場株価が割安であるかが大前提となりますので、この点を確認します。

その際の視点の1つがPBR(=株式時価総額÷株主資本)です。PBRが1倍を下回る状況が継続しているかを見ます。1倍を下回る場合、どこに原因があるかを見ます。PBR=ROE×PERですので、ROEが低いのか、それともPERが低いのかを判断します。

仮にROEが低いとします(ROEの基準は8%が1つの目安です)。この場合、ROEのどこがに問題があるかを見ます。ROE=当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジですので、この3つの指標のどこが原因であるかを確認します。なお、ROEが低くない場合、PERが低い、つまり株価が低いということになります。

次に、PBRが1倍以上ある場合はどうすればよいでしょうか。この場合には、市場株価が理論株価と比べて割安かどうかを見ます。理論株価の算定が必要になります。

理論株価の分析としては、DCF法もあるのですが、DCF法は将来の見通しに対する会社計画又はアナリストコンセンサスの予想値が必要になりますが、個人投資家には難しいところです。そこで、マルチプル法(PERを使用)や、複数事業セグメントがある場合にはSum of the parts(サム・オブ・ザ・パーツ / SOTP法)により簡易的に理論株価を算定します。Sum of the partsによる理論株価は次の記事を参照頂ければと思います。 

これにより、理論株価より市場株価が低いことを確認します。このように、まずは投資先企業の市場株価が割安である、理論株価を下回っていることを確認するのが最初の取組みとなります。その上で、このような状況になっている原因として、投資先企業のコーポレートガバナンス上の課題を見ていくことになります。ここからは次回以降に書きます。