金融庁のフォローアップ会議でこれまで議論されてきたコーポレートガバナンス・コードの改訂作業ですが、6月11日に東証が改訂コーポレートガバナンス・コード(CGコード)を次のとおり正式に公表しました。
https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000005ln9r-att/nlsgeu000005lne9.pdf
3月31日にフォローアップ会議で公表されたCGコード案からは、1箇所のみ微修正されています。今回の改訂のポイントは以前にブログで記事を書いていますが(末尾に当時のブログを再掲しています)、「取締役会の機能発揮」「 企業の中核人材における多様性の確保」「 サステナビリティを巡る課題への取組み」の3点になります。まず、「取締役会の機能発揮」は次の内容になります。
- プライム市場上場企業において、独立社外取締役を3分の1以上選任(必要な場合には、過半数の選任の検討)
- 指名委員会・報酬委員会の設置(プライム市場上場企業は、独立社外取締役を委員会の過半数選任)
- 経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表
- 他社での経営経験を有する経営人材の独立社外取締役への選任
次に「企業の中核人材における多様性の確保」は次のとおりです。
- 管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定
- 多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表
最後に「サステナビリティを巡る課題への取組み」は次のとおりです。
- プライム市場上場企業において、TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実
- サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示
今回の改訂では今後どう対応すべきか悩ましい箇所がいくつかあります。今回のCGコードの改訂と併せて東証はパブリックコメントに対する東証の見解を公表しています。ページ数が300ページと膨大なのですが、これを読んでいくと改訂の原則・補充原則に対する東証の考えがある程度分かると思います。従い、上場企業各社はこれを踏まえて自社の対応をする必要があります。勿論、CGコードを踏まえたコーポレートガバナンス報告書の提出期限である12月末ぎりぎりまで他社の開示例を待って、それを模倣するという後ろ向きの対応もありますが。
物言う株主も企業の改訂CGコード対応を攻撃するに当たり、この結果を分析するはずです。当然、物言う個人投資家の武器としても、読む価値は高いのですが、いかんせんボリュームが多いのが悩しいところではあります。ので、ブログでも物言う個人投資家の武器の観点から、この結果について複数回に分けて紹介したいと思います。