中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

中期経営計画の目標値だけでは機関投資家は納得しません ー 最初に長期のビジョンを示すことが大事です

上場企業各社の3Q決算説明会も終わり、各社の決算説明会資料の整理や纏めを始めるとともに、私の投資先企業のIR部門への質問などのやりとりを本日はしました。先日、売価転嫁に消極的な企業名が公表されたりして、該当する企業は大変だったと思います。たしか、不二越NTNといったベアリング関連企業の名前も出ていましたね。自社の売価転換も上手くいっていないから、仕入先の売価転嫁にも簡単に応じられないなどの事情があるのかも知れませんね。

さて、本日は記事を1つ紹介します。2月7日の日経新聞に「非財務価値、ROEにいかせ」という次の記事がありました。

非財務価値、ROEにいかせ: 日本経済新聞

PBR=ROE×PERはご存じのとおりかと思います。ROEが8%を超えないと株価も上がらないことが最近良く言われていますが、一方、ROEが10%を超えているのにPBRが低い企業があることも事実です。つまりPERが低いのです。これについて、アストナリング・アドバイザー代表の三瓶氏(元フィデリティ投信のヘッド・オブ・エンゲージメント)の意見が掲載されています。

どういう意見かといいますと、PBRが低いのは成長戦略の説明が足りていない、市場が成長を確信するまでに至っていないという内容です。全くその通りかと思います。

最近、機関投資家と対話をして感じるのは、中計経営計画だけでは機関投資家は必ずしも満足していないということです。企業は「中計経営計画=成長戦略だ!」という意見はかなり多いです。けど、これでは駄目です。

10年後のありたい姿をまずイメージして、そこを市場関係者に示してそこに到達するためのこの先2~3年間の計画を中計経営計画として示す必要があるのです。これが合理的と市場関係者が考えることではじめてPERが高まり、株価が評価されるのだと思います。ここをきちんと理解できていない企業は、目先の2~3年の中期経営計画を策定しただけで満足してしまい、結果市場からの評価が低いのだと思います。

というようなことを私の投資先企業のIR部門にメールで本日、質問&意見を伝えました。個人投資家の方は、企業に意見を言うことを躊躇してはいけません。株主の権利ですから。満足の行く回答がなかった場合には、6月の定時株主総会にでも参加して、議長に意見を言おうかなと考えたりしています。