中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

書籍紹介「兜町の風雲児 - 中江滋樹 最後の告白」

久しぶりに本日は1冊書籍を紹介します。先週購入した本ですが、中江滋樹氏と親交のあった雑誌記者が同氏について書いた本です。新潮社から出ています。中江滋樹という名前を知らない方もいるかと思いますが、1954年生まれの相場師です。

小学生で始めた株投資で巨額の金を動かし、20代で東京・兜町の風雲児ともてはやされた希代の相場師と言われ、人脈は政財界、スポーツ芸能界まで広がるも、株の不正売買である「投資ジャーナル事件」で逮捕、出所後は暴力団関係のマネーで再起を図るも、海外逃亡し、その後日本に戻り2020年に小さいアパートの一室で寝たばこが原因で焼死しました。アパートの火災で死亡した時には日経新聞に記事が出ていました。

巨額のマネーを動かした方の人生が書かれており、なかなか面白い内容です。世界でも著名な投資家は数学にかなり強い方が多いですが、中江氏も高校生の時に数学の全国模試で全国3位をとるなど数的才能があったようです。

巨額のマネーを動かし、大手証券会社から疎まれ、逮捕により自身の会社が破綻した後は、ヤクザマネーの運用を行い、その後命を狙われるのでは海外逃亡し、最後は生活保護を受け、東京のはずれにある小さいアパートで再起を図ろうとしていた中で亡くなるという激動の人生を送っています。

この本の最後の章に「金と相場の魔力」として中江氏が語り遺したことが書かれておりますが、その中に相場のコツとして次の記述があります。

相場のコツは、勇気を持って売れるかどうか。上昇の場面で買うのは誰でも出来るが、その場合も、まだ上がるだろうと我慢しないで売ること。売るタイミングを読まないと相場で勝つことはできない。

 相場の格言にも似たような言葉はありますが、「そうだよな」と思う言葉です。投資単位が数千万を超えるような場合、どのタイミングで売却するかにより、儲けが大きく変わります。中江滋樹氏自身は、生涯において本を書いたことはないため、同氏の人生や相場感について書かれた唯一の本と言えるかと思います。