中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

中長期投資としての銘柄分析:フィットネス関連のFY20.Q3決算

コロナ禍でフィットネス関連銘柄の四半期決算の推移を注視しているのですが、1月下旬にホリデイスポーツクラブを運営する東祥(8920)が10-12月期の決算を発表しました。同社はスポーツクラブ、ホテル、不動産の事業セグメントになりますが、主力事業はスポーツクラブ事業です。

Q1からの3ヵ月毎に数値を纏めますと次のとおりです(単位は百万円 / 括弧内の数値は前年同期比)。

       売上高         営業利益     営業利益率

  • Q1 2,923(▲59.1%)  ▲74(  ー  ) ▲2.5% 
  • Q2 5,017(▲29.2%) 533(▲69.1%) 10.6%
  • Q3 5,093(▲29.4%) 583(▲71.2%) 11.4%

前年同期比では、売上高のマイナス幅は縮小していますが依然として大きく低迷しており、営業利益も大幅低迷となっています。FY20通期業績予想は売上高18,000百万円(対前年▲47.8%)、営業利益2,000百万円(▲79.3%)としています。

この通期予想値からQ1~Q3の実績値を引いたQ4の予想値は、売上高が4,967百万円(対前年Q4▲61.9%)、営業利益958百万円(対前年Q4▲77.0%)となります。しかし、1月~3月は非常事態宣言が続くことを考えると、Q4はQ3よりかなり落ち込むように私は予想し、Q4の営業利益958百万円の達成は相当厳しような印象を持ちます。

ちなみに、株価は昨年の1月頃のコロナ前には2,500円近くありましたが、3月下旬には1,000円程度まで下がり、その後回復し、現在は1,500円ほどになっています。予想PERですと約83倍です。この段階で東祥を買うかとなると注意すべきは今後の見通しです。

世の中にあるスポーツクラブはじめフィットネスクラブの利用者の大半は高齢者であることを考えると(東祥は利用者の年齢層の開示が見当たりませんでした)、フィットネスクラブは、この先もかなり暗い見通しのように私は感じます。最寄駅にある大手フィットネスクラブの様子を外から眺めると今だにガラガラです。コロナ禍前には賑わっていたことが嘘のような状況です。高齢者がワクチンを接種した後、すぐに密室のフィトネスクラブに行くかというとそんなことはまずないと思います。恐らくウォーキングであったり、野外での運動へと今後は大きく変わるのだろうと思います。

フィットネスクラブの今後決算発表日程は、セントラルスポーツ(4801)が2月5日、ルネサンス(2378)が2月9日となっていますので、この2社も後日決算分析をしたいと思います。