中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

個人投資家が企業トップの声を聞くツールの紹介

本日は株式投資において企業トップの声を聞くツールを1つ紹介いたします。

企業のファンダメンタルズ分析(財務状況、事業内容、事業の見通し等の分析)をして投資をする個人投資家は、投資先を決めたり、保有の継続の是非を決める上で対象企業の経営トップの生の声は気になるところではだと思います。オーナー社長の場合には、話をする言葉に強い意思や思いが如実に現れるので、私は重視しています。

では、どうすればその声を聞けるかですが、個人投資家の場合、最低でも数十万株以上を有する機関投資家とは異なり企業の経営トップと1対1で面談をすることは不可能で限界がありますが、最近は決算説明会や中期経営計画の説明会をホームページに掲載する企業も増えているので、これが1つの手法になります。しかし、問題は必ずしも本音が聞けないという点です。

説明をする経営トップにもよりますが、決算説明会資料に書かれている範囲でしか淡々と話をしないケースも多く、またそもそもプレゼン能力がかなりとても貧弱な経営トップも多く、視聴するに値しない、つまり決算説明会資料を読めば足るという場合も多いところではあります。

そういう中で、1つ面白いものを紹介します。ラジオNIKKEI第1で毎週水曜日 に放送されている「企業トップが語る威風堂々」という番組です。サブタイトルは、「『場の福の神』藤本誠之さんが毎回独自の視点で厳選した上場企業1社をとりあげます。経営トップをゲストにお招きして事業展望や経営哲学などをうかがいつつ、トップの人となりにも迫るインタビュー番組。「四字熟語」にも注目!」とあります。この「場の福の神」の藤本氏という方の経歴は次のとおりです。

関西大学工学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)入社、個人営業を経て、機関投資家向けのバスケットトレーディング業務に従事。日興ビーンズ証券設立時より、設立メンバーとして転籍。マネックス証券から、カブドットコム証券、トレイダーズ証券マネーパートナーズSBI証券を経て、現在は財産ネット 企業調査部長として各メディアで活躍中。

経歴や話の内容から個人向けのリテール営業を専門にやってきた株屋さんといった印象の方ではありますが(外資系証券会社や国内大手証券会社の本流は「投資銀行業務」ですが、これと真逆なのが個人向けリテール部門)、話はそれなりに面白く、ゲストである経営トップの回答を上手く引き出し、いかにも決算短信等の企業財務に疎い個人株主に受けがよさそうなベテランの方です。

ただ、この藤本氏と一緒にこの番組で登場するアシスタントの女性が時々言葉を発するのですが、この女性はタレントらしいのですが、話のレベルがかなり低いような印象を受け、聞いていて結構イライラするのが結構難点ですが(個人株主相手の番組なので株主のレベルにあわせたアシスタントをあえて置いているのだと容易に想像できますが)、これを無視すれば各企業の経営トップの方の話は有意義です。

この対話では決算の話はあまりなく、企業設立の経緯、経営トップの思い、事業の強み弱み、事業の特徴や今後の事業展開について20分程度の生の声を聞くことが出来るので、個人投資家の方には貴重な情報源となるように思います。