中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2017-01-01から1年間の記事一覧

日経IR・投資フェア2017に参加しての感想 - 講演会の内容

前回、8月26日(土)に「日経IR・投資フェア2017」に参加したことを書きましたが、今回は、その時に開催された講演会の感想について書きたいと思います。 講演はいくつかあったのですが、参加したのは、「持続的成長が可能な企業とは - ESG情報を読み解く」(…

日経IR・投資フェア2017に参加しての感想 - 中堅上場企業(中小型株)のIR説明と一般個人投資家

先日、東京ビックサイトで「日経IR・投資フェア2017」が8月25日(金)・26日(土)の2日間にわたって開催され、私は8月26日(土)に朝から参加しました。 同フェアでは伊藤ポートでお馴染みの伊藤邦雄氏(一橋大学教授)や金融庁スチュワードシップ・コードに関す…

株価の割安の判断指標(EV / EBITDA倍率、ネットキャッシュ / 時価総額比率)

前回、株価が割安か否かの判断基準として、 EV / EBITDA倍率、ネットキャッシュ / 時価総額比率について触れましたが、本日はそれについて簡単に説明いたします。 1.EV / EBITDA倍率(倍)(= EV ÷ EBITDA) これはEV(Enterprise value = 企業価値)がE…

サーベラスの西武HDの全株式売却の報道に見る企業の今後の株主政策

8月17日の日経新聞で米投資ファンドのサーベラス・グループが西武ホールディングスの保有株式全株を売却したとの報道がありました。サーベラスは2006年頃に西武HDの株式を約30%保有して、その後、色々な提案を西武HDに行ってきましたが、その後、段階的に売…

シンガポールの転職率が欧米を超える

8月18日の日経新聞の記事によれば、あるグローバル人材サービス会社の労働者意識調査の結果、「終身雇用の概念がなくなった」との回答について、ポルトガルが最多の86%で、次にシンガポール、香港などが続き、日本は米国と同水準の72%ということのようで…

ROA(総資産利益率)~ 「未来投資戦略2017」での新目標

2017年8月3日の日経新聞で「政府成長戦略、企業の稼ぐ力に別指標『ROA』」という記事がありました。 政府が本年6月に公表した成長戦略「未来投資戦略2017」で、「ROA」の改善が新目標として掲げられたようです。「未来投資戦略2017」では、大企業(TOPIX5…

書評:「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ダイヤモンド社)

本日は、ファイナンス関係の入門書について紹介させていただきます。そもそもこのブログでは読んだ本や参考になった雑誌なども当初書いていくつもりでしたが、これまで出来ていませんでしたので、はじめての書評となります。ダイヤモンド社から2008年に出版…

日経IR・投資家フェア2017が開催されます(8月26日(金)・27日(土))

先日の新聞報道によると日経平均株価を構成する225社の予想PERが14倍と低下しているとのことでした。 PERとは、株価収益率で株価を1株当たり純利益で割ることにより算出されます。米国の大統領選挙の結果が判明した11/9以来、9ヵ月ぶりの水準まで下がってい…

相談役・顧問の役割開示について東証の新制度設立の動き

8月3日の日経新聞に、2018年から東証に提出する報告書で相談役・顧問の氏名、業務内容、報酬の有無などの開示を促す方針であるとの報道がありました。 相談役・顧問に対する批判は、東芝の例を契機に議論の高まっているところであり、J・フロントリテイリン…

物言う株主による黒田電気への提案のざっくりとした検証~有価証券報告書の情報から

少し前になりますが7月19日の日経新聞で、投資会社のレノが黒田電気の本年の定時株主総会で株主提案を行って選任された社外取締役の方と黒田電気の社長の経営方針に関する見解の記事が掲載されていました。 レノは、村上ファンド系のファンド(物言う株主)…

ネットD/Eレシオとは?~出光興産の公募増資の報道から

以前に出光興産の公募増資について書きましたが、その後、出光の公募増資に関する取締役会決議に対する創業家の差止め請求に対して、裁判所が申請を却下したとの報道がありました。 新聞で頻繁に掲載されているのでご存知の方も大変多いかと思います。 本件…

議決権行使助言会社に対する規制の強化の動き

先日、議決権行使助言会社について記載をしましたが、その後に引き続き、日経新聞によれば、米国では、議決権行使助言会社に対する規制の強化の動きがあるということのようです。 米国議会で、金融選択法案というものの審議が進んでいるようです。良く分かっ…

議決権行使助言会社とは?

先日の日経新聞で「総会の黒子の正体」ということで議決権行使助言会社である米国のISSについて記載されていました。 ISSとはインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズというのが正式名称で、業界最大手ですが、他には同業ではグラスルイスと…

ESG投資が日本でも増える可能性

先日の報道によれば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資の運用を開始し、6月末までに約1兆円をESG銘柄に投資するとのことです。 GPIFは日本国内株式を約30兆円保有しており、これまで大部分を東証株価指数(TOPIX)で運用してきましたが、今…

出光興産による公募増資についての分かりやすい解説

出光興産が昭和シェル石油との合併による経営統合を目指している件に関して、出光の創業家が反対していることは、だいぶ以前から新聞報道されていますが、先日の報道で、出光の経営陣が公募増資を決定し、これに対して出光の発行済株式の約33%を持つ創業家…

2017年の株主総会を振り返って

6月も終わり、多くの3月決算企業の定時株主総会も終わったと思います。 本年の株主総会を振り返りますと、連日、株主総会の議決権行使に関連する記事が日経新聞では報道されていました。本年の総会関係の話題についてまとめると、スチュワードシップ・コード…

機関投資家の株主総会への出席の可能性

先日、株主判明調査について書きましたが、実質株主である国内海外機関投資家は、会社の株主総会に参加できるのかについて書きたいと思います。 株主が会社に対して株主であることを主張するには対抗要件を備えている必要があり、この対抗要件とは、株主名簿…

株主判明調査とは?

先日のある新聞記事で「株主判明調査」との言葉がありました。時々耳にする方もいるかとは思いまし、IRご担当の方などは十分に理解されていますが、基礎的事項についてポイントを説明したいと思います。会社の株主は通常は会社の株主名簿に記載されています…

「物言う株主」に対する企業の積極的な対応活動と専門部署

企業の株主総会のシーズンが本格化しており、今週株主総会を迎える企業も多いと思います。 そういう中、6月24日の日経新聞で「物言う企業の逆襲」という記事がありました。要するに、物言う株主に対して企業サイドも従前のように黙っているのではなく、積極…

社内カンパニーと分社化

2017年4月24日付の東芝のプレスリリースによれば、東芝の社内カンパニーであるインフラシステムソリューション社、ストレージ&デバイスソリューション社などを会社分割により分社するということのようです。 ここで、今回は、社内カンパニーと分社化の基本…

スチュワードシップ・コードとは?

2017年5月29日に金融庁からスチュワードシップ・コードの改訂版が出ました。 2014年2月に金融庁がスチュワードシップ・コードを制定して3年後に改訂を行うということで、今回改訂版が出たことになります。 スチュワードシップという言葉はここ数年新聞等で…

企業のネットキャッシュが増加

6月9日の日本経済新聞によれば、企業のネットキャッシュが増加しているとのことです。ネットキャッシュとは、純現金で、次のとおり算出されます。ネットキャッシュ = 現預金+短期保有有価証券-有利子負債ざっくりといいますと、現預金は、バランスシート(…

米英投資家による日本企業向けの集団的エンゲージメント活動

6月9日の日本経済新聞で、米国最大の公的年金と英運用3社が日本企業への統治改革への働きかけで共同歩調をとり、社外取締役の数を全体の3分の1以上にすることを要請し、これに応じない企業には、株主総会での役員選任議案に原則反対票を投じるという記事が…

M&Aによるデータ集中も企業結合審査の対象になる

6月7日の日本経済新聞で、公正取引委員会(公取委)がM&Aの企業結合審査においてこれまでのように市場シェアの観点の審査をするだけでなく、企業活動に有益なデータが過度に集中しないかもチェックする考えを指針に盛り込むとの記事がありました。まずは、そ…

アクティビストにとってプラス材料となる機関投資家の議決権個別開示

数日前の日経新聞で金融庁が機関投資家向けの議決権の個別開示の規範を決めたという記事がありました。 議決権行使の個別開示とは、国内機関投資家は株式を保有する会社の株主総会の議案に対して賛否表示をした結果について、会社別及び議案別に賛否の開示し…

必ずしも「買収防衛策=(イコール)機関投資家は反対」ではない

先日の日経新聞によれば、2017年1月~4月の期間に買収防衛策を廃止した企業数は14社になり、大きく増えているということのようです。さらに2日ほど前にも買収防衛策廃が増えているとの記事が日経新聞にまた出ていました。 買収防衛策は以前にブログで詳細…

フェア・ディスクロージャー・ルールの成立

5月17日に改正金融商品取引法の改正法が成立しました。企業が重要な情報を開示する際に公正な開示を企業に求める制度で、フェア・ディスクロージャー・ルールというものです。 上場企業は、証券会社のアナリストと個別に面談して色々と情報交換をすることが…

社外取締役を目指してはいかがでしょう

コーポレートガバナンス・コードの影響もあり、社外取締役を複数選任する上場企業も多いと思います(なお、東証の要請があるのは当然のことながら上場企業であるため、非上場企業は社外取締役の設置は不要です)。 前々から社外取締役の報酬はいくらであるの…

会社役員の巨額損害賠償リスク

4月28日の新聞報道で、オリンパスの粉飾決算事件に関して旧経営陣陣に対する株主代表訴訟の東京地裁の判決があり、590億円の賠償命令が出たとのことです。過去2番目の高額の賠償額とのことのようです。 株主代表訴訟とは、役員が会社に対して損害賠償義務を…

事業提携交渉において「将来のお別れ時」の条件も十分に検討することの重要性

4月に入って以降もほぼ時間がなく、ブログの更新が出来ていませんでしたが、3週間ぶりに更新をします。 東芝について、監査法人を変更するなどの報道や銀行から訴訟が提起されたとの報道が続いていますが、1週間ほど前に、半導体分社にあって米国ウエスタ…