中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ESG投資が日本でも増える可能性

先日の報道によれば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資の運用を開始し、6月末までに約1兆円をESG銘柄に投資するとのことです。
GPIFは日本国内株式を約30兆円保有しており、これまで大部分を東証株価指数TOPIX)で運用してきましたが、今回約1兆円をESG投資にまわし、今後は、3兆円に増やす考えとのことです。
ESG投資とは、環境、社会、企業統治への取り組み姿勢を判断に投資することで、最近、良く報道されているかと思います。

GPIFでは、次の3つのESG指数を選定して、この指数に応じた株主指数を増やすようです。

・ETSE Blossom Japan Index(ESG総合型)
MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(ESG総合型)
MSCI日本株女性活躍指数(テーマ型・社会)

なお、MSCI日本株女性活躍指数(テーマ型・社会)のホームページを見たところ、次のような記述があります。

時価総額上位500銘柄(MSCIジャパンIMIトップ500指数)を対象とする。
MSCI が新たに開発した性別多様性スコアに基づき、業種内で性別多様性に優れた企業を選別して構築される
MSCI ESG リサーチが非常に深刻な不祥事を起こしている、あるいは人権や労働者権利において深刻な不祥事を起こしていると評価する企業は対象外となる
 
簡単にいうと時価総額(=発行済株式数×株価)の大きい企業の中から、女性の活用などに優れている企業を投資対象として選別していくということかと思います。
 
以前にESG投資は非財務情報を重視するものであり、あくまで投資の前提は企業の業績であるので、ESG投資がどこまで広がるのかかなり疑問というような内容でブログで書きました。しかし、先日、偶々あるシンクタンクのレポートで偶然ESG投資に関する統計値を見たところ、これまで知りませんでしたが、2016年のESG投資額は、グローバルで約23兆米ドルあり、うち欧州が12兆米ドル、米国が9兆米ドルになっているようです。ちなみに、日本は5,000億米ドルでグローバルの投資総額の中に占める比率は、わずか3%との結果でした。ちなみに、2014年との比較では、グローバルでの総投資額は20%以上増えているようです。

このように欧州や米国では、ESG投資がだいぶ進んでいます。日本では今現在は、まだまだですが、基本的に欧米で主流の事項は確実に数年遅れて日本でもスタンダードになっていくと思います。社外取締役の設置、コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップコード、今後詳細が決まるフェアディスクロージャー制度などを見れば分かりますが、欧米のスタンダードが日本でも時期が遅れて適用されるというのがこれまでの流れです。各国での事情などを考慮せず、単純にこの流れだけを見ますと、日本でもESG投資は、スタンダードになっていくような気がします。

先日まで懐疑的にESG投資を見ていましたが、日本はまだESG投資の歴史が浅く、投資ついてもまだ緒についたばかりの印象を持ちますが、今後、大きく増えていくのではないでしょうか。企業としは、ESGの各項目についてグローバルスタンダード(欧州)と自社の現況を比較して、グローバルスタンダードより遅れているのであれば、改善し、既に充足しているか遜色ない程度にあるのであれば、それが正しく外部から評価されるよう積極的に対外的に公表していくということが大切になってくるように思います。

今後はESG投資もキーワードの1つとして継続して注視したいと思います。