中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

業績低迷を理由とする経営陣の解任請求に機関投資家はどういう判断をするのか?

本日は午後から日経新聞ツイッターでマクロ経済情報、株式情報等の収集と整理をしていますが、情報収集をする中で1月19日の日経新聞に日本製麻という企業に株主が取締役解任等の提案をしたとの小さい記事がありました。ゴーゴ-カレーグループという株主のようですね。

日本製麻という企業ははじめて聞きましたので、四季報で調べたところ、時価総額が約40億円のスタンダード企業のようです。四季報では「米麦用麻袋シェア5割。自動車用マット、パスタなど食品、産業資材も展開」とあります。

早速、同社のホームページをみたところ、株主総会の招集請求について、次のプレスリリースが公表されていました。

https://www.nihonseima.co.jp/pdf/news/20230118_RinjiSoukai_SyousyuSeikyu_Oshirase.pdf

業績低迷を理由に社長らの解任と取締役の選任を求める臨時株主総会の招集のようです。プレスリリースを見ますと、業績低迷が続き、株価が低位の状況にある中、抜本的かつ具体的な施策を現経営陣営が行っていないことなどを批判しているようですね。

日本製麻の機関投資家の株式保有比率は分かりませんが、日本製麻のこの解任請求のケースは離れて、あくまで一般論として業績不振などを理由とする企業の社長の解任請求があった場合、機関投資家はどういう判断をするのでしょうか? 

業績低迷の程度にもよりますが、例えば、社長就任時から業績低迷が続き、株価が低迷しているような企業であれば、他社での実績のある人物の取締役選任の株主提案があれば、機関投資家は株主提案に賛同すると考えるのが合理的な気がします。特に、社長が交代してから業績が低迷し、株価もさえない状態が続いているような企業(上場企業の中では非常に多いと思います)は要注意ですね。業績低迷は、社長個人の力ではいかんともしがたく、経営環境に依拠するところが実は大なのですが、どうしても社長の責任が問われますからね。それだけ経営トップになるということは、大きな責任があるということです。サラリーマン社長になるより、代表取締役専務あたりでサラリーマン人生を終える方が現実には幸せかも知れません。

一方、一般株主にはそういった株主提案があった場合はラッキーですね。普通に考えると、現経営陣は株主の賛同を得るために、株価向上施策を検討する可能性があるからです。といったことを考えますと、アクティビストはじめ物言う株主に狙われそうな銘柄を先に買っておくことは、やはりチャンス大ですね。キャッシュリッチ、低PBR、安定株主比率の小さい企業などかな。