大塚家具が大塚久美子社長が退任することを公表しました。大塚家具は業績低迷のため家電量販店のヤマダホールディングスが資本参加をしていますが、ヤマダの社長が兼務するということです。また、三菱ケミカルホールディングスの社長に外国人が就任することの公表もありました。外国人が社長に就任した例は日産、オリンパス等あることにはありますが、非常に珍しいことです。
このように社長・CEO(纏めて「社長」とします)が交代する際には投資家的な目線からは何を考えるべきでしょうか?
それは、その後任社長が、取締役会の関与する後継者計画に従い適切に育成された上で選任されているのかが考えるポイントになります。後継者計画については、コーポレートガバナンス・コードの補充原則4-1③で次のように規定されています。
「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである。」
この原則は2018年の改訂の時に変更されました。改訂前は、「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)について適切に監督を行うべきである」となっていましたが、改訂により、取締役会は、①後継者計画の策定に主体的に関与すること、②計画に従い適切になされていることを監督することが求められています。
会社経営において一番大事であるのは社長であり、誰が社長に就任するかというのはとても重要です。しかし、これまでは、社長は現社長の好みで選定されるケースが多く、必ずしも能力で選任されていないケースが多いと言われていました。要は自分と同じ大学を出ているだとか、自分の言うことを何でも聞くような人物を自分の一存で社長にしていたということです’。しかし、これはコーポレートガバナンス・コードでは、許されていません。
社長が交代するということは、株価にも大きな影響を与える重要なことですが、それ以上に中長期で株式投資をする場合、その企業が今後も成長を続けることが出来るか否かということにも繋がります。特に、株式時価総額が数百億円規模の創業オーナー社長の企業においては、会社の存続におけるオーナー社長への依存度が高いという現実がありますので、どういう人物が次期社長になるかは極めて重要な事項です。
ということで、個人投資家の方は、投資先銘柄の社長が高齢であるような場合には、どういう内容の後継者計画があり、またそれについて取締役会はどう関与し、後継者計画にそって複数の後継者候補が適切に育成されているかなどを株主総会などで聞くことも重要と思います。
そして、きちんとした後継者育成がなされているということであれば、社長が交代した後もその企業の株式を安心して継続保有できるということになります。