中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

「臨時総会 買い誘う転機」 ー 中長期で株価上昇が継続するか否かは注意が必要

1月25日の日経新聞で次の記事がありました。

臨時総会、買い誘う転機: 日本経済新聞

要は、アクティビストが株式を取得して、臨時株主総会の招集を請求した銘柄は、企業価値改善の期待から買われているということです。アクティビストが臨時株主総会を招集するということは、取締役の選任、事業売却、増配等の何らかの株価向上施策を会社に求めるのであり、これにより企業価値が向上することを期待して買いが入るということです。では、このようなアクティビストが保有し、臨時株主総会の開催が請求された銘柄の株価は順調に上昇すると言えるでしょうか?

アクティビストは企業の数パーセントの株式を取得して、コーポレートガバナンス・コード等に基づく論理的かつ合理的な提案をします。最初は会社との間で水面下で交渉するのですが、会社側がアクティビストの要求を受け入れず、目的が達せられない場合、株主提案等の会社法に基づく権利行使をアクティビストはすることになります。結果、アクティビストの提案を会社側が受け入れるであると期待し、投資家はその会社の株式を買い、株価が上昇します。このタイミングでアクティビストは保有株式を売却して、キャピタルゲインを得ます。概ね、アクティビストの戦略はこんなところです。

とすると、臨時株主総会の収集を受けて株価は短期では上昇しますが、それが継続的に続くか否かというと必ずしもそうではないことに注意する必要があります。株価は業績に収斂されるのが鉄則ですので、アクティビストの提案で増配したり、無能な取締役を解任して、あらたに取締役を送り込んだとしてもその後の企業の中長期での業績向上が期待できない場合には、一時的には期待が先行して買われますが、いずれ売られることになるということです。

ということを考えると、アクティビストが臨時総会等の行動を提案した株式は、短期での売買で儲けるという戦略が個人投資家の戦略になるのだと思います。今年は、この戦略で何銘柄か株式投資をしてみようかと考えています。