7月22日の日経新聞に「持ち合い、狭まる包囲網」という見出しの記事がありました。株価が上値を目指す展開の中、政策保有株を増やしている銘柄の株価上昇が出遅れているという内容の記事です。
日経新聞でも時々掲載されていますが、日本製鉄やトヨタ自動車が持ち合いを解消する動きの一方で、JR各社は持ち合いを増やしています。JR九州がアクティビストであるファーツリーパートナーズから株主提案を受け、賛成率が33%でした。これを受け、JR各社は持ち合いの強化に動きだしたような印象を持ちます。
本年の6月総会の結果を見ると株主提案が過去最高となったほか、株主提案に対する賛成率が30%~40%台のケースが増加しました。また、みずほフィナンシャルグループ、東芝のように株主提案を受け、会社提案を変更した会社もあります。株主提案も洗練化され、機関投資家が賛同するような経済合理性のある提案になってきています。
一方、2021年春以降のコーポレートガバナンス・コードの改訂を目指し、2020年秋には金融庁でコーポレートガバナンス・コードの議論が開始され、主要テーマが政策保有株式の削減であるということが言われています。2022年春に東証市場区分の見直しがされ、プライム市場に入る企業には、より高い企業統治が要求されるのではということです。
企業としては、政策保有株式は4~5年後にはゼロになるということを念頭におき、安定株主が存在しなくなり、一方、株主提案が増える環境下で機関投資家と常日頃から単なる四半期決算にとどまらず、事業戦略や資本戦略など全般について対話をして、関係を構築しておくことが今後より重要になっていくのだと思います。