中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

PBR1倍以上を目指すことが今後より大事になります

12月22日の日経新聞横浜ゴムのPBRが競合より見劣りする旨の記事が掲載されていました。PBRとは株価純資産倍率ですが、最近、このPBR1倍のことを時々新聞で目にする機会が増えています。PBR1倍未満の企業は解散価値を下回るということです。PBRを考える時には、常に分解して考えることが重要です。

PBR=ROE×PERですね。つまりROEを高めるか、PERを高めることがPBR向上には重要になります。そして、資本市場は投資において企業のROEを重視しているので、基本的にはROEの高い企業は、資本市場も高く評価するということになるためPERも高くなることが多いので、まずはROEを向上させることが肝になるかと思います。もっとも、株価は半年から1年先の企業業績を見るので、当期の純利益は良く、結果、ROEが高くとも、業績の先行きが悪いと判断すればPERは低いことになります。ただ、細かく分けると話がややなるのでROEに絞りたいと思います。

では、ROEが少しでも現状から上がれば株価も上昇するのかというと、必ずしもそうではないようです。某運用会社の分析によれば、ROEが8%未満では、株価との連動性はないが、8%以上になると1%の上昇ごとにPBRが約0.4倍高まるということのようです。つまり、ROE2%の企業が、ROE5%になったところで市場はたいして評価をしないということです。だから、まずは何としてもROE8%以上を達成するということが株価向上のため重要になります。

では、PBR1倍未満だと何か大きな問題あるのかということですが、これが東証の市場再編で今後重要になります。市場再編に関するフォローアップ会議の資料自体はまだ読めていないのですが、新聞報道等によれば、PBR1倍未満の企業はTOPIXの構成銘柄から外すことに経済産業省から前向きな意見が出ているようですね。大型銘柄がTOPIXから外れたら株価に結構インパクトありますよね。大変なことのように思います。それこそ絶好の機会とばかりに、海外のストラテジック・バイヤー、アクティビストがTOPIXから外れた大型銘柄に敵対的買収をしかけるリスクがあります。

ということで、PBR1倍未満の現状について、いよいよ企業は真剣に考えるタイミングになっているように思います。とは言え、株価はその企業の固有の問題だけではなく、業界全体の先行きが明るくないといくら頑張ってもなかなか株価向上は難しいという企業の悩みもあるので、難しいところですね。自社株買いなどやっても株価が上昇するのは一時ですし。