本日の日経平均株価の終値は23,465円で前日比+218円とコロナ前の水準を上回りました。新型コロナ用ワクチンの開発期待、景気や企業業績の改善の期待が背景にありますが、今後は株価の上昇トレンドにあるように思います。
さて、昨日の日経新聞に東証の少数株主保護の研究会が中間提言を公表した旨の記事がありました。東証は9月1日付で「支配株主及び実質的な支配力を持つ株主を有する上場会社における少数株主保護の在り方等に関する中間整理」を公表しています。
東証は、 従属上場会社における少数株主(=親会社以外の株主ということです)の保護の在り方等に関する研究会を設置し、1月から8月までの合計4回にわたり、支配株主・実質的な支配力を持つ株主(支配的な株主)と少数株主との間の利害調整の在り方、投資家が安心して投資に参加するために必要な少数株主保護の枠組み等について議論をしてきましたが、今回、中間整理の報告ということです。
少数株主をどのように保護するかの詳細は、今後、研究会で議論して決めていくということですが、中間整理では、今後の検討すべき論点として、情報開示、手続き、ガバナンスの3つがあげられており、簡単に内容について触れますと次のとおりです。
- 情報開示:親会社等の支配株主における少数株主利益への配慮を促し、少数株主や投資者の予見可能性を高めるとともに十分な情報に基づいた投資判断のできる環境を整備していく
- 手続き:支配株主が上場子会社の上場廃止を目的としたTOBを行う際の少数株主保護の枠組みについて検討を継続する
- ガバナンス:独立社外取締役の選任等について今後研究していく
いずれの項目もまだまだ抽象的で、具体的内容は今後研究会で議論、決定していくことになっていますが、この中で情報開示について、少し補足します。中間整理の中では、上場子会社の持株比率の維持や買増し、株式の売り渡しに関する事項等について親会社と子会社で合意している事項の開示、上場子会社の運営の考えや方針の開示を求めていくようです。親会社にとって開示の負担が増えます。
上場子会社は、海外の機関投資家が理解できない日本の制度であり、そのような中で、こういう開示が義務化されると、合理的な説明が出来ない場合、親会社は、アクティビストや資本市場関係者から色々と指摘を受ける可能性が今後出てきます。ということを考えると、上場子会社の非上場化は今後確実に加速する方向にあると思います。
上場子会社をなくそうというのは、東証に限らず、経済産業省、金融庁の意向であり、国の考えに反して上場を維持し続けるというのは、なかなか難しいかと思います。TOBとなると市場株価に30~40%のプレミアムを乗せて株式を売却できるのですから個人株主の方にとっては絶好のチャンスですね。
私の場合、上場子会社銘柄では、東京個別指導学院(4745)、ジオスター(5282)、パスコ(9232)を持っていますが、これらの親会社であるベネッセホールディング、日本製鉄、セコムが遠くない将来にこれらの銘柄の上場廃止をしてくれることをひそかに期待しています。
そういえば、中間整理の報告書の最後のページにこの研究会のメンバーの所属と氏名が記載されていますが、民間では、日本製鉄の取締役がメンバーになっています。研究会のメンバーですので、自社の上場子会社をどうするかなど今後検討していく可能性もあるように想像します。日本製鉄の子会社のジオスター(5282)は低位株(本日の終値325円 / 時価総額102億円)ですので、将来に期待して買い進めておく意義があるかも知れません。