中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ICGNの年次総会が2019年7月16日~18日に東京で開催

ICGNの年次総会が2019年7月16日~18日に東京で開催されました。

テーマは「持続的な企業価値向上のためのコーポレート・ガバナンスの再検討」で、機関投資家を中心に27ヵ国から約500名が参加した模様です。ICGN(International Corporate Governace Network)とは、ロンドンに本拠地を置く年金や資産運用会社のガバナンス推進団です。

今回の年次総会で、日本企業に対する重点課題として、次のような点が日本企業への推奨として承認されたとのことです。

<企業の情報提供>

<取締役会の独立性>

  • 上場企業の取締役会は3分の1以上を独立社外取締役とすること 
  • 東京証券取引所の独立性判断基準を国際的なベストプラクティスと同程度にまで厳格化

<取締役会評価と指名委員会>

  • 全ての上場企業が、独立した議長と独立した委員が過半数を占める指名委員会を設置
  • 上場企業の取締役会には、定期的に外部評価機関による取締役会評価を受けることを義務付けるべき

 <資本効率と株式持ち合い>

  • 資本コストに対する考え方に焦点を当てた自社の資本政策についての情報開示を改善
  • 持ち合い株式の削減目標を自社のポリシーとともに公表。また、持合株式の性格について、例えば、親会社、子会社、供給業者等の情報も公表すべき など

これは現時点では日本企業に義務化されたものではなく、推奨する取り組みとのことですが、ICGNの方針は日本のコーポレートガバナンスに与える影響は小さくありません。上記の内容と直接の関係はないかも知れませんが、ICGNは経団連との間でコーポレートガバナンス強化や建設的対話の促進に向けた協力・連携に関する覚書を締結したという記事も少し前に何かで読みました。

資本市場関係者、上場企業の実務担当の方は、経済産業省などの動きを今後ウォッチする必要があるかと思います。