6月23日の日経新聞で「危機が問う果断経営」という見出しの記事がありました。
コロナの影響で、企業は今後、果断なリスクをとることが求められ、それが出来るのはサラリーマン社長でなく、オーナー社長の企業であるといった内容の記事です。スピードのある、かつ大胆な意思決定は、オーナー社長とは異なり、一般のサラリーマン社長にはなかなか難しいところであるということは、昔から色々な書籍や雑誌で一般に言われていることであり、何ら目当たらしいことではないですが、これには注意すべき点もあると思います。
オーナー企業の果断な意思決定という言葉は、その先には、その意思決定の結果が成功をイメージしてしまうケースが多いということです。経産省の一連のコーポレートガバナンス改革のレポート等を見ても、果断な意思決定という言葉はよく出てきますが、何か果断な意思決定をすれば、全て成功するようにイメージしてしまうことはないでしょうか?
特にコロナのような災害の場合、オーナー社長への今後の期待も高まり、「オーナーであれば何かやってくれるはず」という期待を抱いてしまうことも多いかと思います。しかし、オーナー社長の上場企業は、売上高が1,000億円もない規模が多いかと思いますが、これは冷静に見ると、危機の際に企業体力が十分でない企業群とも言えます。従い、果断な意思決定をした結果、大きな損害が発生し、経営が悪化するリスクがあるのです。
どうもオーナー企業というと最近の報道では、積極的な意思決定ができるというプラスの側面ばかりが強調される傾向にありますが、そうでないマイナスの側面もあるということを念頭に置く必要があると思います。
従い、投資銘柄の選定においても、オーナー社長の企業という単純な理由で選定するのではなく、きちんと過去の業績分析と企業体力分析することが必要かと思います。
とは言え、企業の決算説明会の動画などを見ると、オーナー社長の言葉には、オーナーであるがゆえの重みがあり、一般のサラリーマン社長にはないカリスマ性があることと相まって、将来にどうしても期待しがちになるところはあるかとは思います。悩ましいところです。