中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

個人投資家の株式の買いのタイミング - 通期予想に比べて第1四半期業績進捗達成率の視点

7月31日の日本経済新聞で業績進捗率の記事がありましたので、本日は、これについて紹介します。

業績進捗率とは、通期の業績見通しに対して、各四半期の業績実績の進捗がどの程度であるのかということです。

仮にある企業の通期の売上高予想が100億円とした場合、第1四半期で売上高25億円の実績となれば、進捗率25%(=25億円÷100億円(%))となります。

単純に考えると進捗率25%あれば、順調といえますが、例えば、ビール業界であれば4-6月期よりも、第2四半期の7-9月期のサマーシーズンに売上高が増加しますので、単純に25%がよいとは言えません。

業界によって異なるかと思います。従って、過去3年分程度の通期実績と各年度の四半期の進捗率を比較すれば、本年度の業績予想の達成可能性が分かるかと思います。

今週以降も3月期決算企業の第1四半期決算発表が続くかと思います。個人投資家の方は、自社の投資銘柄の決算短信を見て、決算短信の1ページの一番下に2020年3月期の通期業績予想数値として、売上高、営業利益、純利益の数値が開示されていますので、その数値に対して、当四半期の売上高、営業利益、純利益の進捗度合はどうかを把握するとよいと思います。

仮に、進捗率が25%を大きく下回る場合には、今回は下方修正をしなくても近いうちに下方修正をする可能性があり、よって近いうちに株価が下がるという推測ができます。

逆張り(株価が下がったところで買いを入れる)を投資手法とする多くの個人投資家の場合には、自分が投資検討する銘柄について、今回の第1四半期の決算短信の数値を見て、業績達成率が低い場合には、下方修正を念頭におき、それまで買いは控え、下方修正のタイミングで買いを入れればよいかと思います。

但し、現在の将来見通しの不透明な経済環境下では、さらに下期に再度下方修正をする企業も出てくるかも知れませんので、下方修正を出した後にすぐに買いを入れるのではなく、対象銘柄の同業他社との数値を整理して、再度の下方修正の可能性を見極めた上で、買いを検討するのだろうと思います。

そういう意味で、経済見通しが不透明な環境下では、個人投資家はこの夏季休暇に投資銘柄とその同業の決算をじっくりと分析すると良いと思います。

私の場合、8月9日とその翌週に投資先銘柄の決算発表が相次ぎますので、夏季休暇の8月12日週に決算数値の整理を行う予定ですので、時間があればその結果も紹介していきたいと思います。