3月26日に金融庁がコーポレートガバナンス・コード改定案、投資家と企業の対話ガイドライン案を公表しました。
金融庁のホームページを見ますと、対話ガイドラインについては、本年4月29日までにパブリックコメントを受け付けるということのようです。
コーポレートガバナンス・コードの改訂案は、第15回のフォローアップ会議で公表されたものとほぼ変わりありませんが、今回の改訂において上場企業にとって大きな課題になるのは、次の事項の開示が求められることかと思います。
① 政策保有株式の縮減方針・考え方
② 個別銘柄別の保有目的の適否に関する検証
③ 政策保有株式の具体的な議決権行使基準
④ 企業年金のアセットオーナーとしての人事面・運営面における取組み内容
⑤ 経営陣幹部の選解任の方針・手続
改訂案では、これらの事項について、上場企業は開示することが求められます。金融庁の公表を受けて、東証では、上場企業に対する説明会を開催し、今回のガバナンスコートと対話ガイドラインに対する企業の実務対応について説明をするようです。
政策保有株式の縮減やアセットオーナーとしての取組みなどは、多くの企業にとってすぐには対応できないものであるとは思いますが、実務上は今後対応して行かざるをえないことになります。
ちなみに、コーポレートガバナンス・コードは、私的自治を基本とする、いわゆるソフトローになります。企業にはコーポレートガバナンス・コードのコンプライ又はエクス
プレインが求められ、コードで規定する原則が実施できない場合には、その理由を説明することが求められます。
ただし、理由の説明といっても、「実施するつもりはありません」といった単純な説明では、株主・投資家には説明がつかないことと思います。上場企業の規模や種類にもよりますが、基本的には上場企業には、コードの遵守が求められるのであり、それが実施できないということであれば、しかるべき理由を説明する必要があります。