コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

コーポレートガバナンス・コードの改定案が公表

先日の日本経済新聞金融庁が企業指針改定案公表との記事が出ましたが、これは3月13日開催の第15回の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」において、コーポレートガバナンス・コードの改訂案が提示されたことをいっています。

金融庁のホームページから、コーポレートガバナンス・コードの改定案を見ますと、政策保有株式、企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮、CEO解任手続きの確立、取締役会の多様性、事業ポートフォリオの見直しを含む経営資源の配分についての株主への分かりやすい説明等が改定内容となっています。

この中で企業の実務に一番大きな影響を与えるのは、政策保有株式になるのではないかと思います。コーポレートガバナンス・コード改訂案での政策保有株式に関する記述を抜粋すると次のとおりになります。

 

「上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきである。」

 

簡単にいいますと、政策保有株式の縮減方針を開示するとともに、保有する政策保有株式は個別に保有の適否を検証するとともに、検証内容を開示し、政策保有株式に関する具体的な議決権行使基準を開示せよということです。要するに、資本・業務提携等の理由なく保有する関係は解消せよということです。

企業にとっては、政策保有株式の縮減により安定株主が大きく減るわけですので非常にインパクトが大きかと思います。

政策保有株主の比率は、当然ながら企業によって異なりますが、少し記憶が曖昧ですが、日本企業の平均は35%程度あるという資料も見たことがあります。これが崩れるということは企業にとってインパクトが非常に大きいと思います。

つまり、安定株主が減るということは、株主総会の議案について会社提案について賛同を得らないケースも出てきますし、アクティビスト等の物言う株主の提案に対して賛同する株主も増えることになるということです。

以前に一橋大学の伊藤教授が何かのセミナーで「2018年はアクティビスト元年になる」と言っていた記憶もありますが、その通りの方向に向かっているとこの改訂案を見て感じました。

では上場企業としては、どうすればよいかというと、①資本市場での資金調達も行わないのであれば思いきって上場を廃止する(これにより、IR部門や経理部門の決算業務にかかる人員が不要になるので、この部門の人員をリストラすることで大きくコスト削減もできます)、②上場を継続するとした場合には、自社の経営について、常に資本市場関係者の目線に立ち客観的に分析し、機関投資家との対話を十分に行い、機関投資家を「準安定株主」とすることが大事になります。

いわゆるSR活動(Shareholder Relations活動)を今後は益々重視していく必要があるのではないでしょうか。