コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IR等の新聞記事について、投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

米英投資家による日本企業向けの集団的エンゲージメント活動

6月9日の日本経済新聞で、米国最大の公的年金と英運用3社が日本企業への統治改革への働きかけで共同歩調をとり、社外取締役の数を全体の3分の1以上にすることを要請し、これに応じない企業には、株主総会での役員選任議案に原則反対票を投じるという記事がありました。


東証の方針では「2人以上」の社外取締役を要請していますが、日本国内の機関投資家も3分の1以上の社外取締役の設置を要請するところも多いです。なお、今回、この海外4社の日本株保有額は4兆円を超えるとのことで、企業にとっては関心の高い話題かと思います。

上場企業の中で、外国人比率が30%を超えていくような企業は、今後、社外取締役を3分1以上選任しておかないと、取締役及び監査役の選任議案の海外投資家家の反対が増え、この動きに他の国内機関投資家も賛同するということになりますと、議案の賛成(50%以上の賛成率)の確保も難しくなる懸念があります。

とすると、単純に考えると3分の1以上になるように社外取締役を選任しておくということが必要になります。

もう1つ考えられることは、現在の社外取締役の員数はそのままで、社内取締役の員数を減らすということがあるかと思います。

そもそも、売上高が数百億円から2,000~3,000億円程度の規模しかないのに、取締役の数が売上高数兆円規模の超大企業と同等の員数の取締役がいるという会社も見たことがあります。しかし、現実には、この規模の企業であれば、取締役の員数は一定数減らしても業務にはまず支障はないとい言えます。

より具体的にいうと、そもそも取締役の員数がどうして多いのかということは(会社法上は最低3名いればよいとされています)、取締役の椅子をある程度用意して、頑張ればこの椅子に座れるということで従業員に業務に邁進するインセンティブを与えることが目的の1つであり、実のところはある程度減らしてもまったく業務には支障はないと思います。ただし、あまりに減らすとインセンティブが働かなくなり、業務に邁進する力が弱くなるという懸念はあります。

さて、話が少し脱線しましたが、記事によれば、日経平均株価を構成する225社の企業のうち、3分の1以上の社外取締役を充たす企業は40%ということです。したがって、残り60%の企業は今後対策必要になってくるかも知れません。

6月12日週前半に日本の企業統治改革に向けた具体的要請内容を共同公表するということですので、その内容を見て気になる箇所があれば継続して見ていきたいと思います。