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「経営者の去り際に説明責任」ー 辞任だけでなく、短期間での任期満了退任の場合にも説明責任があると思います

2月8日の日経新聞に「経営者の去り際に説明責任」というタイトルで次の記事がありました。

経営者の去り際に説明責任: 日本経済新聞

国内外で経営陣が辞任する場合に、「合意に基づき退社」「一身上の都合により辞任」といった理由が簡単に書いてあるケースが多いが、辞める以上は、理由や背景についても株主への説明責任を果たすべきという内容の記事でした。

全くその通りかと思います。最近、取締役の選任理由を詳しく株主総会の招集通知に記載する企業が多いです。これは、機関投資家株主総会で選任議案の賛否を判断する上で、その人物が適切か否かを具体的に判断したいという求めが背景にあります。そして、その選任理由が妥当と株主が判断して取締役は選任されるのです。

であれば、任期途中で辞任する場合には、選任理由と同程度の詳細な辞任理由を株主に説明するのは必須かと思います。取締役は、一旦選任された以上は、会社との関係は委任関係に立つので、辞任の意思を表明することで辞めることはできまます。しかし、株主によって選任された以上は、辞任する場合には、その詳細な理由や背景を株主に説明しないと説明責任を果たしていないということになると思います。

では、仮に任期が1年として選任されて、1年で再任されなかった場合、つまり再任取締役として会社提案議案から外れていた場合はどうでしょうか?任期1年で選任されたのだから、1年経過して任期満了となった場合に再任されなかった理由を株主に示す必要はないというのが会社法上の考えかと思います。しかし、本当にこれでよいのでしょうか?

取締役として選任されたということは、中長期での企業価値向上を期待されて選任されたのだと思います。中期経営計画などもだいたい3年の期間です。であれば、1年の任期で選任はされていますが、株主としては、この人物が2~3年は在任して企業価値向上に寄与するであろうと期待して選任していると言えます。とすれば、やはり先ほどの辞任の場合と同様に、任期1年で満了となり、再任されなかった場合には、何故そうなったのかの詳しい説明が必須かと思います。株主総会のQ&Aで質問を準備するのが一般的ですが、「質問があったら回答するか」という後ろ向きの態度ではなく、積極的に開示をするという態度が大事なのだと思います。特に、社外取締役の場合、やはり最低でも3年もしないと会社のことが分からないと思いますので、3年未満で退任する場合にも十分な説明責任を会社は果たす必要があるように思います。