中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

ストラテジックキャピタルの株式会社ワキタへの株主提案の特設サイト ー 「政策保有株式に関する対話内容」が面白い

アクティビストであるストラテジックキャピタルが株式会社ワキタに対する株主提案について特設サイトを次のとおり開設しています。

株式会社ワキタ〜ワキタの株主価値向上に向けて〜 株式会社ストラテジックキャピタル

株主提案は、取締役の選任、配当性向100%、加重資本コストの開示、代表取締役社長の報酬の開示、政策保有株式の縮減に向けて行動することです。

タイトルだけ見ると、コーポレートガバナンス改革の最近の動きに照らして、いずれも一定の合理性がある株主提案のような印象を受けます。この中で、面白いのは政策保有株式で、次のURLにある「政策保有株式に関する対話内容」です。

https://proposal-for-wakita-from-sc-2022.com/task02

次の記述です(強調箇所は私が太字にしました)。

当社は2021年2月現在、約31億円もの政策保有株式を保有しており、これには株式会社横河ブリッジ(以下「横河ブリッジ」といいます。)、極東開発工業株式会社(以下「極東開発」といいます。)の株式も含まれます。ワキタ有価証券報告書において、「取引関係の維持・強化」を目的に両社の株式を保有していると主張していますが、横河ブリッジの髙田社長、極東開発の藤本総務課長はこれを否定しています。しかし、ワキタの成山執行役員はこのような両社長の発言を知ってなお、「取引関係の維持・強化を目的として株式を保有している」と主張しています。弊社としては、政策保有株式は一切保有するべきではないと考えております。しかし、ワキタの開示に則り、あえて「取引関係の維持・強化」の観点から政策保有株式の効用を検討しました。そして、「取引関係の維持・強化」が取引先の代表者に否定されてなお期待できるものとは到底考えられず、ワキタ経営陣は政策保有株式について適切に判断することができていないと考えております。そのため、一定の基準に沿った政策保有株式の売却を提案します。 

面白いですね。ストラテジックキャピタルの主張によれば、株式を保有されている企業が「取引関係の維持の目的がない」と言っているわけですね。政策保有株式を保有する場合には、保有の合理性を取締役会で検証して、開示することがコーポレートガバナンス・コードでは求められています。

ワキタが「取引関係の維持・強化あり」といっても肝心の相手先にそういう意識がないとなると、ワキタの主張はどうなるのでしょうか。ワキタの取締役会ではどのように政策保有株式の保有の合理性を検証したのか興味深いところではあります。