コーポレートガバナンス、M&A、企業価値、IRなどに関する実務ニュース

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機関投資家協働対話フォーラムが買収防衛策の必要性に関するレター送付を開始

機関投資家協働対話フォーラムが「資本市場の評価を下げるリスクを踏まえた買収防衛策の必要性」のレターを、2019年に防衛策の更新期限が到来する企業を対象に送付開始(10月10日頃より順次)したとのことです。

機関投資家協働対話フォーラムとは、2017年にスチュワードシップコード改訂で集団的エンゲージメントが規定されたことを受け、機関投資家のスチュワードシップ活動に資するよう、機関投資家による協働での企業との対話を支援する目的で同年10月に設立された一般社団法人になります。

本フォーラムに参加する機関投資家は、企業年金連合、三井住友アセットマネジメント、三井住友トラストアセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行りそな銀行で、意見を取交し、対話に係るアジェンダを設定、共有の見解をまとめ企業に提示するという活動をしています。

フォーラムによるレターの提示は、今回が第4弾ということで、これまでに、①不祥事発生企業に情報開示を要求するレター ②経営トップの取締役選任議案に相当数の反対のあった企業に原因分析の要求を求めるレターなどを送付しています。

レターの内容ですが、買収防衛策は次のような理由で問題であり、資本市場からの評価を下げるものであり、仮に継続するのであれば、継続による投資家からの信頼低下をどう考えるか、また、企業価値の評価を下げるリスクがある中での継続理由は何かなど、必要性について招集通知や適時開示資料で開示することを求めるというものです。

<問題>
・防衛策導入の理由である濫用的買収のリスクは、金融商品取引法が整備され、今や小さい
・海外競合会社による技術の海外流出の未然防止のため買収防衛策を有する企業もあるが、この場合、正当目的の買収は防止できない
・買収防衛策を持つことで、経営陣の経営に対する規律性が弱まり、株主による付託への緊張感が薄れ、経営に甘さが出る
・防衛策を有することで投資家はガバナンス評価をディスカウントして企業価値を評価する など

フォーラムに参加の機関投資家が共同でレターを提示しますが、投資先企業の回答を踏まえて各社が買収防止策議案をどう評価して、賛成・反対のいずれの議決権行使をするかは各機関投資家の判断に委ねられることになります。

レターの内容は、フォーラムのホームページにアクセスすれば見ることができます。

買収防衛策議案への反対率の高まりも背景にあり、来年防衛策の更新期限を迎える企業は年明け頃から機関投資家を訪問して、防衛策に関して賛成が得られるのか感触を探ることになると思います。

フォーラムに参加する機関投資家を訪問する際には、当然ながらレターの内容の質疑応答が求められると思いますので、十分な事前準備が必要になってきます。