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日経IR・投資フェア2017に参加しての感想 - 講演会の内容

前回、8月26日(土)に「日経IR・投資フェア2017」に参加したことを書きましたが、今回は、その時に開催された講演会の感想について書きたいと思います。

講演はいくつかあったのですが、参加したのは、「持続的成長が可能な企業とは - ESG情報を読み解く」(伊藤 邦雄 氏(一橋大学 特任教授))と「重要性高まる企業の情報開示とESG情報」(高山 与志子 氏(ジェイ・ユーラス・アイアール)、ブラックロック・ジャパン担当他)の2つのほかに、UBS証券の方による欧米投資のメガトレンドの合計3つになります(全部で3時間30分でした)。

ちなみに、伊藤氏は、経産省が2014年に出した「伊藤レポート」の座長である大変著名な方であり、高山氏は、公表情報で経歴を見ると、2017年金融庁スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会メンバーであり、元メリルリンチ証券などで勤務されていた方です。

内容としては3つとも同じような内容の講演会で、今後の投資においては、非財務情報であるESG情報が重要になるというものです。

ESGとは、以前にこのブログでも書いております。その時は「今後トレンドになりうるのか少し疑問である」と書きましたが、どうやら昨今の新聞報道なども見ると本格的に日本でもESG投資が本格化するのではないかと思っています。

ESGとは、E(Environment)、S(Society)、G(Governance)を示す言葉です。

GPIFが運用資産約130兆円のうちの運用する日本株(約30兆円)の約1%をESG投資に組み込むことを公表し、大きな概要は新聞報道レベルでは知っていましたが、そもそものESG投資の動きの背景を知らなかったので、今回の講演会では背景などを知ることができ大変有意義でした。

個人投資家対象の講演会でしたが、内容は企業のIR担当者などにとっても大変有用な内容と思いました。

大きな観点からポイントを書きますと次のような内容になります。

・ESG投資は欧米(特に欧州)で先行しており、グローバルスタンダードである。日本が遅れている。
・ESGの背景は、2008年のリーマンショックの時期に財務状況の好調な企業が破綻し、その原因が非財務情報である企業統治や企業文化であることが判明。結果、企業の中長期的な成長には、財務情報以外の非財務情報、中でもESG情報が重要であるとのコンセンサスが出来た。
・ESGの中で、欧米では「G」が重要で、「Governance first」の状況にある。EとSは海外機関投資家もどのように考えたらよいか現時点では思考錯誤の状況にある。

簡単にポイントだけをいいますと上のような内容になります。

要は企業の短期的成長・業績を見るのであれば、ESG情報などは不要ですが、中長期的成長の観点から見るのであれば、欧米投資家はESG情報を重視しており、これは確実に日本でもそうなる。このため、企業は情報の開示に留意する必要があり、個人投資家は企業のESG情報をきちんとウォッチすることが今後必要であるということでした。

企業の中長期的成長に関しては、前述のとおり経産省が2014年に出した「伊藤レポート」に色々と記載されています。レポートの正確なタイトルは、「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家と望ましい関係構築~」です。

このレポートは資本市場関係者、大手上場企業の経営企画担当やIR担当で、少なくとも名称をご存知の方は多いと思いますが、内容(全文100ページ)まで読んだ方は、少ないのではないでしょうか(経産省のHPを見ると掲載されています)。

という私もサマリーの斜め読みしか出来ていませんが、一度全文をしっかりと読み、ポイントについて、今週末あたりにブログで書いてみたいと思います。