先日の日本経済新聞に社債である劣後債の発行が増えているという記事がありました。
劣後債とは社債の1つで普通社債よりも返済順位が低い社債です。普通社債に比べて返済順位が低いので、格付が下がるため高い利回りが求められます。
劣後債を発行した企業として、野村ホールディングス、サントリーホールディングス、楽天などが記事に掲載されていました。記事によれば、劣後債の発行が増えている背景として、①超低金利で調達コストを抑えられること ②資本コストとROEへの高まりということが書かれていました。
①は、市場金利が低いので、劣後債でも利子(クーポン)を低く抑えられるということですので、分かりやすいと思います。次に②ですが、これについて少々説明いたします。
上場企業の資金調達手段としては、金融機関からの借入や社債の発行以外に新株発行があります。この場合、株式を発行することになりますので、当然、発行済株式数が増えます。
資金調達にはコストがかかります。借入や社債であれば利子ですね。一方、株式での資金調達のコスト(株主資本コスト)とは、株主の期待するリターンであり、社債による資金調達コストより高いです。
そして、株主資本コストとの比較で検討される株式指標はROEですが、新株発行で資金調達を行うと資本金やこれに加えて資本準備金が増加します。
つまり、株主資本が増える結果、ROEが低下します。株主資本コストは高く、一方、ROEが下がるというのは好ましくないですよね。そこで、社債で資金調達を行えば、コストも低く、またROEにも影響が出ないので劣後債で資金調達を行う企業が増えているということかと思います。
以上、簡単に触れてみました。