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経営企画担当の実務上の視点

東証1部上場企業で経営企画担当のマネージャー職にあるものです。経営・事業企画担当の立場から M&A、事業戦略、IR、戦略法務についてアカデミック+実務の視点からの気付いた点や考えることについて情報発信していきます。

#7 企業買収防衛策とは②

上場会社に対する敵対的買収への対抗策として買収防衛策について話をする前に、前回簡単に触れた未上場会社に対する敵対的買収について書きたいと思います。

未上場会社の株式は市場で流通しているものではなく、また株主から相対で直接取得しようとしても、会社の定款で株式譲渡に当たっては、取締役会の承認が必要とになる旨を規定している会社が多いので、会社の取締役会の承認が得られない限り取得するとことは出来ません。従い、株式譲渡に反対する社長サイドの取締役が取締役会の員数の過半数を占めていれば、保有する株式を買収者に譲渡したいとの株主からの申し出があっても譲渡の可決はされないのですが、社長が自分サイドに立っていると思っていた取締役が買収者によって説得された場合には、取締役会で可決されるリスクがあります。なお、取締役会の決議は、社長が100%の株式を保有していても社長を含めた取締役の取締役会における議決は、1人1議決権となります。従い、未上場会社の社長は、敵対的買収者が出現した、いわゆる有事の場合には、自社の取締役が裏切りを行うような事態が生じないように細心の注意を払うことが重要です。仮に買収者になびく行動をする恐れがある取締役がいるような場合には、株主総会を開催して、より正確には少数株主権として(社長が一定比率の株式を保有するということが前提ですが)、臨時株主総会の開催を請求して、臨時株主総会で取締役解任の議案を上程し、株主総会の決議を経ることで解任するのです。ただ、取締役の解任は株主総会の普通決議事項ですから、過半数超の議決権を有する株主の賛成が必要になることとと、正当な理由なく解任された取締役は会社に対して損害賠償請求をすることが出来ますので、この点は留意する必要があります。

なお、余談ですが、敵対的買収のケースではないのですが、私のとても近い親戚が代々経営する会社において、銀行出身の副社長が他の取締役を抱きこみ、社長が解任されるという予想もしない事態が実際にありました。上場会社であれば、資本市場の目があるので、なかなかこういった解任劇を簡単にすることは、取締役の善管注意義務の問題もあり慎重になることもあるかと思いますが、資本市場の目に触れない未上場会社であれば、突然に色々なことが起こり得ると身近に感じました。

さて、少し脱線しましたが、買収防衛策とは、簡単にいいますと、上場会社の一定数の株式(15%又は20%程度)を取得する意図がある買収者は、会社の定めるルールに従い、買収(株式取得)を進めることを会社はルールとして定め、このルールに違反して買収をしようとする買収者に対しては、会社は新株予約権を交付し、新株を買収者以外の全株主に交付することで、買収者の株式保有比率を希釈化するというスキームになります。

なお、買収防衛策は最近廃止する企業も毎年10社~20社程度ありますが、その背景としては外国人投資家の増加があります。通常、買収防衛策は2~3年を更新期限とし、継続更新に当たっては株主総会の決議事項としている会社が多いですが、外国人投資家(外国法人)は、買収防衛策議案に対しては、ほぼ100%反対票を投じるため外国人投資家の多い会社は、株主総会で買収防衛策の承認が得られないため、外国人投資家の保有比率がたとえば30%、40%を超えてくるような会社は、やむなく廃止しているケースが多いのです。

買収防衛策の詳細とあまり本には書かれていない実務上のポイントについては、次回書きたいと思います。