中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

東証が資本コスト・株価を意識した経営実現に向けた対応を公表 ー アクティビストに追い風となることは必至

本日、東証の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の第9回会議が開催され、上場企業各社に「資本コスト・株価を意識した経営実現に向けた対応等に関するお願い」が通知されました。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて | 日本取引所グループ 

以前にもブログで掲載しましたが、株価の意識のところは前の公表の案とあまり大きな変化はないですが、「株主との対話の推進と開示」が結構細かい内容が盛り込まれていますね。これはプライム上場企業に限定しての適用です。

https://www.jpx.co.jp/news/1020/cg27su000000427f-att/cg27su00000042a7.pdf

直前事業年度における経営陣等と株主(=機関投資家を想定)の対話の実施状況の開示が求めれており、「開示することが考えられる事項」として、以下の内容が記載されています。

  • 株主との対話の主な対応者
  • 対話を行った株主の概要(国内外の別、アクティブ/パッシブの別、グロース/バリュー/配当重視などの投資スタイル、対応者の担当分野(ファンドマネージャー、アナリスト、ESG担当、議決権行使担当)など)
  • 対話の主なテーマや株主の関心事項
  •  特に株主から気づきが得られた対話や、経営陣等の説明により株主の理解を得られた対話の事例
  • 対話において把握された株主の意見・懸念の経営陣や取締役会に対するフィードバックの実施状況
  • 対話やその後のフィードバックを踏まえて、取り入れた事項があればその内容 など

結構細かい事項の開示が求められています。投資家と対話をして、この対話結果を経営に反映させて企業価値を向上する努力をしているかを対外的に示せということです。 しかし、今回の東証の要請はアクティビストにとっては追い風ですね。企業はアクティビストと対峙するケースが今後益々増えます。アクティビスト対策、機関投資家とのエンゲージメントが上場企業にとって益々重要になります。