中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

公正で透明な企業買収ルールの整備 ー ルールの下で買収者と企業の言い分を株主が判断するのが大事

本日は東日本大震災の日ですね。早いもので発生から12年です。当時は、東京都内は信号機も止まり、電車も動かず大変な一日でした。地震の揺れで勤務するビルが倒壊し、人生もここで終わるのかと一瞬焦りました。震災はいつ起こるか分かりませんので、万一の準備をしようとあらためて思います。

さて、3月10日の日経新聞に次の記事がありました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK094580Z00C23A3000000

少し前にブログにも記事を書きましたが、金融庁TOB法制の見直しを検討することを公表したことに関連しての社説です。

昨日、経産省の「公正な買収の在り方に関する研究会」が実施しているパブコメの内容を、仕事上の必要性がありじっくりと読み込みましたが、あらためて思うのは、買収者の規制にばかり目を向けるのではなく、企業の有事型の買収防衛策の発動のルール整備も必要と思います。

最近の裁判例を見ると、株主の賛同さえ得られれば、後出しジャンケンの有事型の対抗措置の発動が許容されているような印象を受けます。けど、常にこれを許してしまうと、企業価値を高める真摯な買収提案も否定されてしまいます。だけどこれは違います。企業価値を高める買収は実施されるべきというのがステークホルダーの考えです。

企業価値を高める真摯な買収提案であれば、経営陣及び社外取締役は、自分たちの身分の安定有無の視点を除いて(クビになり生活が出来なくなるという心配もありますが、企業価値を高めるには経営陣の全員がクビになることはまずないかと)、買収提案が企業価値を高める余地があるか否かの視点で判断して、それを株主に問うという透明性の高いルールがあり、そのルールの下で買収者と企業がガチンコ勝負をするということが、あるべき公正なルールのはずです。パブコメの期限は3月15日です。