中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

サッポロホールディングスが買収防衛策の非継続を公表

本日の日経新聞で人的資本の記事がありました。人的資本はホットな話題ですね。企業が自社の中長期のありたい姿、つまり事業ポートフォリオをまず描き、現在の事業ポートフォリオとの乖離を人でいかに埋めていくのが人的資本かと思います。従い、今いる社員の教育研修に時間と金をかける、育児休暇の取得を促進するなどの安易な取組みを始めても、機関投資家から見たら「???」になるので注意が必要です。

さて、本日、サッポロホールディングスが買収防衛策の非継続を公表しました。

https://www.sapporoholdings.jp/news/items/20230215sh.pdf

サッポロは過去に投資ファンドスティール・パートナーズに株を持たれ、攻防があったことは記憶の方も多いと思います。

アクティビストの活動が活発化する中、サッポロのように過去にアクティビストと攻防のあった企業は、買収防衛策の有用性は十分に認識されていることと思いますが、そのような中での非継続ということは、株主総会での賛成率獲得が難しいと判断したのかも知れません。

もっとも、買収防衛策を有していて、株主から廃止の株主提案があった場合、それに賛同する機関投資家もかなり増えているのも事実です。議決権行使基準に明示している機関投資家もいます。これを考えると、後日の争いの種はつぶしておくという考えもあるかも知れません。

となると、企業にとって最大の防御策は企業価値を高めるということ、つまり株式時価総額を上げよということなのかも知れません。機関投資家が良く使う言葉です。けど、いくら株価を上げても、例えば株式時価総額が数百億円規模又はそれ以下の企業の場合、海外の投資ファンドや事業会社が本気になれば、あっさりと買収されてしまうリスクが大というのが悩ましいところです。他には外資規制で守って貰うという考えも一応ありまうすが、外資規制も実はたして便りにならず・・。