中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2023年株主総会に向けて(4) ー ISSが2023年版の議決権行使助言ポリシーを公表

先日、旧村上系の投資ファンドと言われているシティインデックスイレブンスがアルプスアルパイン大量保有報告書を出していましたね。アルプスは時価総額が3000億円程度あるのですが、国内の投資ファンドがこの時価総額クラスの企業も対象にし始めたようですね。5%を取得するにはそれなりの資金が必要かと思いますが、アクティビストの運用資産が増えているということなのだと想像します。普通のファンドに金を預けるより、アクティビストに金を預けた方がリターンが大きいということで、今後、アクティビストが益々活躍する時代になるのだと思います。企業はコーポレートガバナンスに一段と注意する時代と言えます。

さて、前置きが長くなりましたが、議決権行使助言会社のISSが2023年版の議決権行使助言ポリシーを公表していたようですね。

https://www.issgovernance.com/file/policy/active/asiapacific/Japan-Voting-Guidelines-Japanese.pdf

取締役選任議案の関係ですと、過去5年平均のROEが5%を下回る企業の経営トップの取締役選任議案に反対推奨という基準が1つ肝になりますが、この基準は2023年も適用停止とするようですね(昨年12月にもブログでこの点を触れていましたので、その時の記事を最後に再掲します)。低ROEが続く外国人株主比率の高い企業は、「助かった!」ということで喜んでいることと思います。

けど、不思議なのは何故ISSはこの基準を停止しているのでしょうかね? 国内の機関投資家はROE5%基準を適用しており(他にも考慮する要素はあります)、この基準に抵触する投資先企業の経営トップの選任議案には、遠慮なく反対行使をしています。そのような中、ISSが本年も適用を停止する理由が不明です。来年からは8%に基準を上げることを考えていたりするのでしょうかね?どなたか理由が分かる方がいれば教えて欲しいところです。