中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

議決権行使助言会社ISSの2023年版の議決権行使助言ポリシー改定案

先日、ブログのある記事について久しぶりにコメントを頂きました。大変ありがとうございます。ただ、はてなブログの場合、コメントの返信が少し複雑なところがあり(返信用のボタンがないなど)、以前には別の方からの質問に対してネットでやり方を調べて返信をしたこともあるのですが、しばらく時間も経ち、やり方をすっかり忘れてしまいましたので、確認した上で、ご質問を頂いた方には明日以降にご回答を差し上げたいと考えております。

さて、議決権行使助言会社ISSが来年2月の株主総会から適用になる2023年版の議決権行使基準の改定案を公表したようですね。次のとおりです。

https://www.issgovernance.com/file/policy/2022/2023-Benchmark-Policy-Changes-For-Comment-Japanese.pdf

取締役の選任に関して2点となりますが、うち1点は2022年版で改訂は公表されております。とは言え、これは改訂に向けたコメント募集ということですので、これで確定したわけではないです。ただ、過去の改訂においては、最終的には改訂案そのままで確定したことが多かったかと思いますので、今回もこの改訂案で確定する可能性は高いのだと私は考えています。

今回の改訂案では驚くところはないですね。Climate Action100については、対象となる日本企業はごく一部の超大手企業の10社程度になるかと思いますので、ほぼ全ての上場企業には関係のない話ですね。

それよりも、気になるのはROE基準の適用の復活があるかどうかです。過去5期平均のROEが5%を下回る場合、経営トップに反対推奨という基準をISSは有していますが、この数年、日本企業に対しては適用を停止しています。今回の改訂案では、これについては触れられていませんね。とすると2023年度も適用停止が続くのかも知れません。まだなんとも言えませんが。

業績の低迷している企業で、かつ海外機関投資家による株式保有比率の高い企業は、適用が復活となると経営トップへの反対が一気に増えるところもあり、かなり気になるところかとは思います。今後、動向を注視して変化があれば、ブログでも掲載したいと思います。