中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

本には書かれていない株主提案への実務対応の考え方③ ー 株主提案を本気で行使するかどうかで判断します

本日の日経新聞に「訪日客再興 追い風」ということで訪日外国人関連で数銘柄が掲載されていました。この中のある銘柄は、中長期保有で買い増しを検討しているところです。コロナ禍で訪日外国人需要が蒸発しましたが、今後(2年後あたり)、確実に戻るはずですので、安い時点で仕込むチャンスかなと考えてはいます。

前回、株主提案について第2回を掲載しました。株主提案の300単元は持つものの、数万株程度の僅少な株式の取得にとどまる場合に企業はどう対応するかです。前回、基本的に静観でよいと説明しましたが、本日は続きを説明したいと思います。

前提としては発行済株式総数が3億株の企業で、投資ファンドであるアクティビストが仮に50,000株程度を取得している場合です。 この場合、株主はたしかに株主提案は可能です。けど、株主提案をしてそれを株主総会で通すには過半数の決議が必要です。つまり、この投資ファンドは、他の機関投資家をはじめ株主の賛同を得る必要があります。そのためには、他の株主の賛同を得るためには、もう少し保有比率を増やしておかないと現実には不可能です。

投資ファンドは趣味で投資をしているのではなく、アセットオーナーからお金を預かり、一定のリターンを得るために投資をしています。株主提案をして機関投資家の賛同を得るには、株主提案の内容を精練されたものにする必要があり、大手の法律事務所を起用するケースが多いです。となると、当然ながら、業者コストもそれなりにかかります。コストをかけてやるからには、それなりに覚悟をもって臨むのであり、わずか50,000株程度でコストをかけてプロの投資ファンドが株主提案をするということは考えにくいのだと思います。

だから企業としては、あせることなく、投資ファンドの株数の変動には気をつけつつ当面は静観することでよいのだと思います。 これが投資のプロである投資ファンドが取得した場合の対応です。

けど、個人株主の場合には、面倒ですが注意する必要があります。 個人株主は何も深いことを考えずに、株主提案をするケースも多いと思います。投資先企業への嫌がらせのための株主提案と思われるようなケースも散見されます。この場合、法律事務所を起用しているのかは知りませんが、仮に起用するにしても、知り合いの小さい法律事務所などを起用するだと思います。結果、たいしてお金もかからずに個人株主は株主提案が出来るということで、しょうもない提案をすることも多いです。

とは言え、株主提案があった以上は、会社側としては会社法を踏まえた対応をする必要はあります。まあ、結果への影響はゼロですが、面倒ですが事務対応はせざるを得ないということです。

以上で簡単ですが、株主提案が可能な株数を有する株主への対応の考え方として、3回に亘り記事を掲載しました。