コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

物言う株主(アクティビスト)の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方(第9回) ー 非財務情報とは何?

石野雄一氏の「道具としてのファイナンス」をご存じの方は多いかと多います。2005年に出版されたコーポレートファイナンスの実務の基礎について書かれた本ですが、この度、増補改訂版が出るようですね。発売が8月8日のようです。早速、昨夜、アマゾンで注文をしました。本が届くのは8月10日頃の予定ですので今から楽しみです。

さて、中長期の株式投資において非財務情報が重要になることを前回の第8回で書きましたが、では非財務情報の具体的内容は何でしょうか?

少し前に仕事上の知り合いなどと話をしたところ、どうも良く理解できていない方も多くおり、「非財務情報=E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の情報」という意見が意外に多かったです。「ではGとは何?」という質問をすると「会社の機関設計でしょう」と言う人もかなり多く、良く分かっていない人が結構多いのだなという印象を持っています。

では、非財務情報は何であるかというと、先日記事に書いたように、投資家が中長期で投資をするための判断材料となる情報です。ということを考えると、具体的には、次のような情報が非財務情報になるかと考えます。

  • 経営理念
  • 経営理念を踏まえて企業価値をいかに増大させるか
  • 自社を取り巻く経営環境
  • 経営環境の将来見通し
  • 経営環境の将来変化に対する企業価値増大の経営戦略
  • これを実現するための社内体制

環境や社会に関する情報も経営環境に関する情報ではあります。環境対応が不適切であれば取引を失注するリスクもあるし、従業員はじめステークホルダーとの関係が悪い場合には企業経営にマイナスとなる影響もあります。けど、これが全てではないはずです。というか、EやSへの対応は全体に占める比率は小さいと言えます。あくまで、現在から将来にわって企業が稼ぐためのベースになる情報が非財務情報ということの理解が大事です。

コーポレートガバナンス・コードでは非財務情報について、「基本原則3」で次のとおり規定されています。

上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。 その際、取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることも踏まえ、そうした情報(とりわけ非財務情報)が、正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

こういった非財務情報が開示される媒体は、中期経営計画であったり、統合報告書であることが多いかと思いますが、物言う株主としては、投資先企業の開示が不十分な場合には、開示を求めることが出来るというわけです。そして、開示情報が多ければ、今度は、それを契機に投資先企業に対する更なる質問へと発展させることができます。いずれにせよ非財務情報に関する開示が不十分な企業は狙い目ですね。

開示な不十分な企業に対して株主として適切な提案をすると、それに賛同する機関投資家も出てきます。