コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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機関投資家は当社を理解してくれているのでは?② ー 機関投資家の議決権行使基準

昨日の日経新聞に今年の株主総会での株主提案の件数や特徴について記事が掲載されていました。先日の日経ヴェリタスと同じ内容の記事ですが、上場企業の方は目を通された方がよいかなと思います。この記事を見て思うには、個人投資家物言う株主として企業に対して行動を行う環境が整備されつつあるなと思いました。

前回、機関投資家の議決権行使基準について、企業サイドは機関投資家に議決権行使基準と異なる行動を期待してしまうことが多々あるという記事を書きました。けど、現実には、機関投資家はそういう行動をとることはなく、議決権行使基準を遵守した議決権行使をすることにならざるを得ないということです。その理由は何でしょうか?

これについて、旬刊商事法務の7月5日号に某機関投資家の担当者が参考になる記事を書いております。それによれば、機関投資家の議決権行使基準は機関決定されたものであり、そもそも年金基金等のアセットオーナーとの資金委託契約時に提示して確定しているため、位置づけは重く、基準の遵守が原則ということです。これって基本的ですが、とても重要なことかと思います。私もこの記事を読んで「そうだよな」とあらためて思いました。

ということであれば、機関投資家の方は、対話の際に「異なる判断をすることもあるよ」などという企業に期待を持たせる発言はしないで欲しいところではありますが、基準と異なる議決権行使は現実には非常に例外的ということのようです。

では、企業としてはどうするかですが、先ほどの旬刊商事法務に2点ほど紹介されています。1つは企業の実態の改革であり、もう1つが判断基準のオーバーライドということです。

最初の実態の改革は理解は簡単ですね。議決権行使基準にそった内容に改善するということです。けど、実務上は困難ですね。ROEを5%以上にせよといっても企業の資本政策に関わることであり、簡単には出来ないことと思います。

とすると、あとはオーバーライドですね。要するに、基準に達していないが、企業が改革途上にあること、そして近い将来に基準を達成すると投資家が判断する場合には、例外的に賛成の判断をする場合もあり得るということです。そのためには、企業は機関投資家と十分な対話を早期に実施して、企業の現状、今後の取り組み、改善の見通しについて理解して貰うことが必須になります。

対話をしても成功する可能性は低いかも知れませんが、対話をしてまずはお互いの理解を深めるということが大事です。投資家との非財務情報の対話を実施していない企業は、まずは実践してみることが大事だと思います。では、「どういうことをやるの?」ということですが、前にもブログで書いたことがありますが、また別の機会にブログであらためて記事を書きたいと思います。