中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

政策保有削減の状況の総会招集通知への記載 ー 「記載効果のある企業」のみが記載すればよいです

6月25日の日本経済新聞に次の記事が掲載されていました。

〈株主総会2022〉政策保有株削減の状況、総会前開示が3割に拡大: 日本経済新聞

企業が政策保有株式の縮減の状況や方針を株主総会の招集通知に記載する動きが広がっているということです。この狙いは何でしょうか?

政策保有株式の保有金額の大きい企業は、機関投資家から経営トップの選任議案に対して反対される可能性が大です。具体的には、純資産の20%%又は10%を超える政策保有株式を有する場合などです。そして、機関投資家はその数値基準については、直近の有価証券報告書に記載の金額をベースに判断します。

とすると、本年度に政策保有株式を縮減した場合、その縮減分は議決権行使においては何ら反映されないことになるため、縮減した政策保有株式をベースに議決権行使をして欲しい企業は、総会の招集通知に記載するということになります。

ということから、そもそも縮減した株式数が小さい場合や大きく縮減しても、元々の政策保有株式の金額が純資産の10%以下の場合には、招集通知に記載する必要は全くないかと思います。勿論、記載して問題ということは全くないですが、記載しても何の効果もないということです。