中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

【今年の株主総会のポイント】政策保有株式を記載する場合には取締役選任議案に絡めて視認性を高めるのが大事です

ウクライナ情勢で日経平均株価終値が昨日は▲591円でした。株価の下げの局面で買増しを進めたい銘柄があり、キャッシポジションを厚くするため、日経平均が下げる数日前に一部の保有銘柄を急ぎ売却しました。来週から買い増いを進めたいところですが、ウクライナ情勢で日経平均株価が来週以降も大きく下げるかどうか要注視です。けど長期化すると原材料・輸送費が大きく上がるので、企業の収益にマイナス影響となるので悩ましいところです。そういう点では、コスト体質のしっかりした銘柄を投資先としておくのが重要とあらためて思います。

さて、3月期決算企業においては、今年の定時株主総会の準備に向けて本格的な準備に入る時期かと思います。関係各部門が集まり、キックオフミーティングを開始する企業も多いのではないでしょうか。本日は政策保有株式の招集通知への記載について紹介します。

今年から国内機関投資家も政策保有株式に対する議決権行使基準を強化しています、つまり、純資産に占める政策保有株式の合計金額が10%、20%といったように大きい場合、経営トップの取締役選任議案に反対するというものです。

ここで注意すべきは、機関投資家が政策保有株式の金額を知るのは、有価証券報告書ということです。つまり、今年の定時株主総会でいうと、政策保有株式は2021年3月期の有価証券報告書に記載の政策保有株式になるのです。1年前の時点の情報がベースになるということです。このため、この1年間で政策保有株式を減らしてもそれが開示されるのは、2022年3月期の有価証券報告書のため、株主総会の時点では開示されないということです。

では、企業としては、どうすればよいかというと、本年の定時株主総会の招集通知で政策保有株式を売却したこと、2022年3月末現在の政策保有株式の金額などを明確に記載することが必要になります。機関投資家は招集通知を見て判断するので、そこに記載しておけば、それを見て議決権を行使することになります。

ここで大事なのは、分かり易く、明確に記載するということです。機関投資家は総会シーズンに何百社という企業の招集通知を短時間で読むことになるので、出来るだけ企業としては、見てもらいたいところは簡潔かつ明確に記載することが重要です。昨日、NISSHAが次の開示をしています。

https://www.nissha.com/news/2022/03/ersrhs00000140or-att/disclosure20220304.pdf

招集通知に記載したようですが、ISSが見落としていたということでの反論です。NISSHA株式はわずかながら私は保有していますので、昨日、総会の招集通知が送付されてきたので、今開いて見ているのですが、政策保有株式について2021年度は15.2%と記載されていますね。けど、記載場所が選任議案から少し離れたところにありますので、ISSは見落としたのかも知れません。NISSHAも記載に工夫の余地はあったかと私は思います。ということで、株主総会招集通知に明確に記載するのが重要です。