コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

社外取締役の多い企業では社外取の意見や果たした役割の具体的な開示が重要

統合報告書を作成する企業も多いかと思いますが、それに関して最近思うところが1つあります。東証のプライム市場の企業には、社外取3分の1以上が求められていることもあり、社外取を増やす企業がだいぶ増えているところですが、ひとまず増員することで安心と思わている企業も多いのではないでしょうか?

機関投資家の視点からはこれだけでは不十分です。社外取締役は所詮は「社外者」です。つまり、月1回程度の取締役会などに参加するのが主な活動であり、社内取と比較して、有する情報の量と質の点では劣るのが常です。ある企業の社外取のインタビュー記事を読むと「社外取に就任してこの1年は勉強に集中した」というような発言がありました。世の中のほとんどの企業で社外取の最初の1年目はこんな感じだろうなと思います。このような状況ですので、機関投資家から見ると社外者である社外取は、「本当に機能しているの?」「役に立っている?」という点が疑問なのです。特にその員数が多いほど、心配になるのです。

では、企業側はどうすればよいのかと言うと、毎年更新する統合報告書で取締役会のこの1年間の議題、討議の内容、社外取のメッセージを詳しく開示することが重要になります。これまでブラックボックスになっていたところを公表することで、機関投資家に安心感を与えることが出来ます。

勿論、全てを詳細に開示することは必ずしも適切ではないと思います。文字にするとそれが独り歩きするリスクもあり、誤解を招くこともあるからです。従って、ある程度詳しく開示をして、その先のより細かい内容は機関投資家とのエンゲージメントで経営トップ又はそれに準じた立場のマネジメントから口頭で説明するというのが妥当だと思います。

中長期投資の機関投資家は会社の内情については、会社サイドが想像する以上に、情報がないが故に分かっていないということを念頭に置いて、統合報告書を作成することが大事です。