コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

スタンダード市場を選択した理由 ー エバラ食品工業の開示文より

本日から1月4日まで仕事が休みのため、株式投資に絡む情報整理、過去の株式投資ノートの復習等を開始しました。また、この半年以内に購入した書籍(「サラ金の歴史」「労働組合とは何か」「ステークホルダー資本主義」「感染症の中国史」「金融庁戦記」)も十分に読めていないので、読書にも集中する予定です。

さて、本日の日経新聞によれば、東証1部の9割がプライム市場に移行する予定との記事が大きく掲載されていました。先日のブログ記事でクックパッドがプライム市場の基準を充たす中、スタンダード市場を選択したことに触れましたが、エバラ食品工業もプライム市場とスタンダード市場の双方の上場維持基準に適合しているところ、スタンダード市場を選択したようですね。12月13日に次のとおりプレスリリースを公表していますが、選択の理由について以下のとおり記載されています。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2819/tdnet/2058612/00.pdf

  1. いずれの市場を選択しても、持続的な成長とコーポレート・ガバナンス体制の強化を通じて中長期的な企業価値向上に取り組むという当社の基本方針は変わるものではない
  2. 2021 年 6 月30 日の移行基準日においては、「プライム市場」の上場維持基準を充足したものの、株式の売買代金に関する基準について、安定的・継続的に充足する状態ではない。株式の売買代金増加は当社の取り組みだけでは実現できない要素も多く、仮に「プライム市場」を選択した場合、将来的に基準を
    充足せず上場維持基準に抵触するリスクがある。以上の要素を考慮の上、株主の皆様が不安を持つことなく安心して当社株式を保有・売買できる環境が重要と判断した
  3. 「プライム市場」を選択した場合に求められる基準の中には、更なるコストや労力を要する点があり、当社自身の規模を踏まえた上で、限られた経営資源を新たな価値を創造する商品やサービスの開発とそれを実現する組織・人材の活性化に振り向けることが企業価値向上に資すると考える

エバラ食品は12月13日に市場選択のプレスを出していますが、14日には株価終値は前日比で+102円となっています。プライム市場を選択して将来無駄なコストがかからないことなども市場で評価されたのでしょうか。

1月11日に上場企業の全ての企業についていずれの市場を選択したのか東証が公表しますが、プライムの基準を現状充足していないにも関わらず、プライム市場を選択した企業は海外投資家との対話等に取り組んでいくのでしょうかね。アクティビストにとって格好の材料になる気がします。

最近では個人投資家コーポレートガバナンスを勉強している方も多いので、有事の際には個人株主の賛同も得られない可能性もあるかと思います。世間体を気にして、深く考えずプライム市場を選択した中小型銘柄企業の経営トップは、これを契機にコーポレートガバナンスを真剣に勉強することが必要と思います。