コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

東京機械製作所と投資ファンドの攻防(第37回) ー 筆頭株主が株価の行方を左右する事業計画に高い関心を示すのは当然です

本日は仕事が休みで時間が潤沢にあるためブログとツイッターの更新をちょくちょくしていますが、先日、アジア開発が面談の音声データを公表したことに対して、東京機械が敏感に反応して質問をしていますが、それに対して、アジア開発が次のプレスリリースを公表しています(しかし、東京機械は敏感に反応しますが、本件で起用している法律事務所にはいくらの弁護士費用を払うのでしょうか。東京機械の営業利益はFY20が1億4千万円、FY21(予想)が4億8千万円です)。

http://www.asiadevelop.com/wp-content/uploads/2021/10/23ea5da3dd249688ee0b6b51494fde02-1.pdf

これによれば、アジア開発は東京機械に具体的事業計画を開示するように繰り返し求め、それとともに、企業価値や株主共同の利益に係るいくつかの質問をして、その回答を東京機械の株主に向けて開示するように求めたことについて、東京機械の対応について次のとおり批判しています。

貴社経営陣は、同月 11 日付けホームページ開示「当社機関投資家株主との対話状況に関するお知らせ」において、中期的な事業計画の開示は 2022年 1 月を目途として行うこと(裏を返せば、現時点においては、開示に耐え得るような具体的事業計画を有していないこと。)、そして、当社らの質問に対しては「真摯に回答をするべきものであるとは認識しておりません」と述べて、回答・開示について消極的な姿勢を示されております。貴社経営陣のそのような姿勢は、大変残念であり、当社らは、貴社の議決権割合の 40.2%を保有する筆頭株主として、遺憾の意を表明させていただきます。

 筆頭株主は投資先企業の株価の下落により大きな含み損を抱えるのであり、東京機械の企業価値の土台となる将来の事業計画に高い関心を有するのは当然です。一方、経営のかじ取りを行う東京機械の経営トップの保有株数はいくらでしょうか?

21年3月期の東京機械の有価証券報告書の記載では、会長の青木宏始氏が6,364株、社長の都並清史氏が1,864株です。サラリーマンの会長・社長ですので、自社株の保有がたかが知れているのは仕方ないですが、「あまりに少ないのでは?」と思ってしまいますが、どうでしょうか?

この程度の保有株数であれば、東京機械の株価が下がっても、お給料が定期的にもらえる限り、経営トップの2人は大きな経済的損失は受けないかと思います。筆頭株主であるアジア開発と比べて、株価の行方による経済的損失が極めて小さいということです。

筆頭株主は株価が100円下落するだけでも大きな損失を抱えることになるのであり、企業価値(フリーキャッシュフロー)の前提となる将来の事業計画に大きな関心を持つのは当然であって、東京機械がアジア開発の満足の行く説明をしていないということであれば、それはやはり大きな問題かなと思います。普通、個人株主であっても中長期投資で1銘柄当たり数千株も保有していれれば、その銘柄の将来の事業計画に強く関心を持つのは当然かと思います。

  • 8月 6日 東京機械:取締役会決議により買収防衛策を導入
  • 8月 6日 東京機械:独立委員会の設置、独立委員の選任
  • 8月13日 東京機械:ファンドへの書簡送付に関するお知らせ
  • 8月17日 ファンド:東京機械からの質問に関する見解
  • 8月19日 東京機械:ファンドの東京機械株買増しを公表(35.47%保有
  • 8月24日 東京機械:ファンドに追加取得の書簡を送付(38.64%保有
  • 8月26日 ファンド:東京機械に回答書を送付
  • 8月26日 ファンド:東京機械に株主名簿の閲覧・謄写請求
  • 8月30日 東京機械:取締役会が新株予約権の無償割当を決議
  • 8月31日 ファンド:対抗措置発動に関する見解を公表
  • 9月 2日 ファンド:東京機械に焦土作戦 などを問う書簡を送付
  • 9月 3日 東京機械:ファンドの書簡に対する反論を公表
  • 9月 6日 東京機械:ファンドの開示の適法性の疑義に関する調査意向
  • 9月 6日 ファンド:株式を買増し(保有割合:39.94%)
  • 9月 8日 ファンド:東京機械の主張に対する反論を公表
  • 9月 8日 ファンド:株主名簿閲覧請求
  • 9月 9日 東京機械:ファンドらの株式買集め行為への反対声明受領を公表
  • 9月10日 東京機械:新聞社40社の応援の声明受領を公表
  • 9月10日 東京機械:ファンドに送付した必要情報リストを公表
  • 9月13日 東京機械:ファンドらの株式買集め行為への反対声明受領を公表
  • 9月13日 ファンド:必要情報リストへの対応方針を公表
  • 9月17日 ファンド:東京地裁新株予約権無償割当ての差止仮処分命令の申立て
  • 9月22日 ファンド:臨時総会で議決権行使を許容する仮処分命令を求める申立て
  • 9月22日 東京機械:ファンドに対して追加質問
  • 9月29日 東京機械:株主意思確認の株主総会の日時の決定(10月22日)
  • 10月1日 ファンド:誓約書を提出
  • 10月7日 ファンド:委任状の勧誘を開始
  • 10月8日 東京機械:希望退職募集結果と特損計上を公表
  • 10月9日 ファンド:「東京機械製作所の経営方針等について」を公表
  • 10月11日 東京機械:機関投資家との対話状況を公表
  • 10月13日 ファンド:ISSの賛否推奨レポートに反論
  • 10月15日 ファンド:株主意思確認総会の手続きに関する中間合意を公表
  • 10月18日 ファンド:東京機械との面談記録(音声)を公表
  • 10月19日 東京機械:ファンドに対して追加質問
  • 10月20日 ファンド:東京機械に過去の追加質問に対する回答