中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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SBIと新生銀行の攻防(第13回) ー 新生銀行は独立社外取締役協議会を組成

新生銀行は、対抗措置発動の準備に入った旨の報道を否定するプレスリリースを出していますが、本日、新生銀行は次のとおりTOBの賛否を客観的に判断するため、社外取締役だけでつくる協議会を設置したことを公表しました。

https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2021/211006_Announcement_j.pdf

買収防衛策導入企業の多くは買収防衛策スキームにおいて、独立委員会又は特別委員会を設置するケースが多いですが、この新生銀行の「独立社外取締役協議会」も似たようなものです。新生銀行の買収防衛策によれば、独立社外取締役協議会は、以下の事項について評価・検討し、その結果を踏まえ、当行取締役会に勧告又は意見を述べるとあります。

  1. 本公開買付けが、当行の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益の最大化を妨げるものでないかについて、調査・検討及び評価を行うこと
  2. 以上の調査、検討及び評価を踏まえた上で、本公開買付けに対する賛否及び本プランに規定する対抗措置の発動の是非について検討を行うこと
  3. 以上の他、独立社外取締役協議会として当行取締役会に対して勧告又は意見すべきと考える事項

ポイントは、検討して取締役会に勧告するということです。つまり取締役会にアドバイスをするのです。

これに対して新生銀行の取締役会は最大限尊重することになります。これは、独立社外取締役協議会のアドバイスに拘束されることなく、最終的には取締役会がどうするか決定するということです。仮に対抗措置を発動して、後日、買収者から対抗措置が経営陣の保身のために発動されたとして裁判になった場合に、恣意性はないという材料にするために独立委員会等は設置されます。