中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

SBIと新生銀行の攻防(第11回) ー SBIがTOB期間を12月8日まで延長

本日の日経平均株価終値は前日比ー639円と大きく下げました。本日は保有するパスコ(9232)を売却する予定にしていたのですが、株価がぱっとしないので売却は見送りました。パスコは親会社であるセコムによるTOBを期待して2年ほど保有していたのですが、セコムによる完全子会社の可能性が低いことが分かり、また保有株数も少ないので売却候補にしています。

さて、本日、SBIは次のとおりTOB期間を延長することを公表しました。

https://www.sbigroup.co.jp/news/pdf/2021/0929_b.pdf

10月25日をTOBの期限としていましたが、12月8日まで延長するようですね。SBIは、新生銀行によるTOB期間の延長要請に対して、新生銀行に4つの事項の遵守を条件に延長に応じる可能性があることを示していました。一方、新生銀行はこの4つの事項の遵守は無視する姿勢でしたが、SBIは延長要請に応じたということです。延長の理由について、プレスリリースに次の記載があります。

当社らは、対象者の買収防衛策は対象者経営陣が自己保身のために導入したものである疑いがより一層強くなったものと考えており、買収防衛策が対象者経営陣の自己保身のために不当に利用され、かえって対象者の企業価値ないし株主の皆様の共同の利益が毀損される事態にならないよう引き続き強く求める所存ですが、対象者らが一方的に提示した期限内に当社らが公開買付期間の延長に応じないことを以て、対象者によって買収防衛策に基づく対抗措置の一部が暫定的に発動される可能性があることから、対象者の株主をはじめとしたステークホルダーの皆様に無用な混乱を生じさせないためにも、止むを得ず対象者からの要請に応じ、公開買付期間の終了日を2021 年 12 月8日まで延長することを決定しました

太字の部分は、SBIが延長要請に応じず、新生銀行が取締役会の決議で対抗措置を発動すると(=株主意思確認総会の前に暫定的に発動しするということです)、新生銀行の株主に無用な混乱を与えることを心配しているようです。SBIが世間から非難されることを懸念しているということでしょうか?また、次のような記述もあります。

対象者の買収防衛策上、当社らが公開買付期間の延長に応じた場合には、対象者取締役会が本公開買付けが「企業価値および会社の利益ひいては株主の共同の利益を著しく毀損する」と判断する場合に限って対抗措置の発動について株主意思確認総会の賛否を問う形になっているものと理解しております。公開買付届出書に既に記載し、また、本回答報告書において追加で情報提供した、本公開買付けが成就した場合における対象者の企業価値の回復・向上に向けた具体的な方策や少数株主の皆様の保護のための具体的な方策の内容等を踏まえれば、そもそも本公開買付けが「企業価値およ
び会社の利益ひいては株主の共同の利益を著しく毀損する」ものでないことは明白と考えておりますが、万が一、対象者取締役会が本公開買付けが「企業価値および会社の利益ひいては株主の共同の利益を著しく毀損する」ため本公開買付けに対して対抗措置を発動すべきであると判断し、株主意思確認総会の開催を決議される場合は、そのように判断する具体的な根拠を明確かつ詳細にご提示いただくよう、併せて引き続き要請してまいります。

株主意思確認総会を開催して対抗措置の発動について株主の賛同を求めるのであれば、SBITOB新生銀行企業価値ひいては株主共同の利益を毀損することを明確に示せということで、株主意思確認総会の開催を牽制しています。